7. 知駒〜幌延
 国道275号線中頓別手前の知駒から、知駒岳を登り幌延町に抜ける峠道に入るが、山の上の方には黒い雲が見える。この道は昨年反対方向から通った道で、知駒からの下りの道はとても楽しい道であったので、今年は登りにコースを設定して楽しみにやって来たのである。緩やかにRを描くコーナーが連続しながら標高を上げるこの道は、路面がドライであれば我々を日ごろ味わえない別世界に連れて行ってくれるはずであったのだが、標高が上がるにつれて路面が徐々に濡れてきた。山頂近くのシェルターを抜ける頃には路面は完全にウエットなり、今にも雨が降りそうになる。

 カッパを着るかどうするかを判断するため、バイクを道の左側に停めエンジンを切る。静かだ。かすかな風の音以外は全くの静寂の世界である。我々が向かおうとする方向の空には雨を降らしている黒い雲が見える。急いで雨具を着る事にする。雨具を着終えた頃、山の向こうから音が押し寄せて来た。ざわぁー!ざわぁー!という音が遠くの方から近づいて来る。何の音だ。と音の来る方向に聞き耳を立て、ジィーと見る。・・・雨の音だ。雨が木々に当たって立てている音だと分かった瞬間、我々はアッという間にその音に呑み込まれてしまった。どしゃ降りの雨に打たれながら、まるで宮崎駿監督作品のアニメーション映画<もののけ姫>にでも登場しそうな森の自然な営みの音を感じて、大自然の響きを心に刻む。

 今まで生きてきて初めて聞く音の世界、これも北海道に来なければ体験できなかった事、今回の北海道ツーリングの良い思い出となった。

 また今度絶対ドライ路面の知駒岳を上り来ると心に誓う。その時またこの道は違った顔を見せてくれるだろう。

 どしゃ降りの峠道を下ると雨は小降りになり、15分も走るとさっきの雨が嘘のように路面も乾き始め上間寒からは完全なドライとなる。日曹までの最近出来たのであろう黒い路面の道を快調に飛ばす。豊富と浜頓別を結ぶ道に出た所で、雨具を脱ぐ。


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