2003 FUNKY 6th.ツーリング レポート

10月5日 石淵〜遠野〜葛巻〜八幡平〜志張温泉元湯


                
Repor by Ryut


秋田⇒出羽グリーンロード⇒十文字⇒岩井 旅の駅⇒石淵ダム⇒愛宕⇒R107⇒

北上⇒R107⇒
遠野⇒R340⇒川井村⇒R340⇒浅内⇒葛巻⇒沼宮内⇒松尾

八幡平樹海ライン志張温泉⇒大葛⇒比内⇒米内沢⇒上小阿仁⇒五城目⇒

モト ワークス ヒラタ 

 
走行距離 635km
 2003年度FUNKYツーリングも今回を含めて後2回となった。最近は最高気温が20℃を切る事も多くなってきて、走れるのは後1ヶ月チョッと言うところか。

 今日の参加メンバーは6名で、今回RF400RのN君XJR400RのN氏のダブルNコンビが初参加する事になった。Nコンビと初めて走ったのは昨年の10月に行ったビギナーツーリングであった。その時はまだ2人とも免許取りたてで、初心者の走りであったのを記憶している。そして今年四月の男鹿ツーリングも一緒に走ったが、その時は大分バイクに慣れた印象があった。この1年で2人の走りがどう変わったか興味のあるところである。

 そして今回は、FZ750のF氏と’02 R1のS氏が今年初参加となった。この2人仕事の関係で今まで参加出来なかったが、今回何とか休みが取れて久々の参加となった。2人共今年はほとんどバイクに乗っていなかったそうで、走りの感を取り戻せか不安なようである。

 それに北海道帰りのYZF750SPのM氏TZR250Rの私の2人が加わり合計6名で走る事になった。もう独りの北海道帰りライダーR6のK氏は、稲刈りのため今回は不参加とな
った。

 今朝の天気は、昨晩寒冷前線が通過した時に降った雨がまだ路面に残っていて、晴れてはいるのだがウェット宣言が出ていた。この時期出羽グリーンロードは濃霧になる事が多いが、今日もこの状態では霧が出ている事が予想される。

 集合時間の6時までに全員集合、6時過ぎに秋田を出発する。私が先頭で13号まで走り、そこから先のグリーンロードはM氏に先頭を任せ、私は初参加の2人の様子を見ながら走る。2人の走りは一年前とは全く変わっていて、不安感の無い安定したその走りは、ミラーの中からも彼らの1年間の成長ぶりが十分感じ取られた。

 途中予想した通り霧が出てスロー走行を強いられたが、南外村のいつもの佐藤酒店に着く頃には朝日が差し始める。雨上がりの濡れた路面に反射した日差しは、バイクを鮮やかに照らし出し爽やかな朝を演出している。


 今回M氏は北海道で前後のタイヤを使い切っため、新たな強力ウエポン METZEKLER RENNSPORT タイヤをYZF750SPに装着して来た。このタイヤは私が北海道に履いて行ってその高性能ぶりを確認していたし、由利原の主も太鼓判を押すタイヤで、今回FUNKY月例ツーリングに初御目見えである。

 幸か不幸か今回はこのタイヤのウエット性能の確認テストが出来てしまったようで、テスト結果はバンク時は別にして直線路では問題無く走行出来る事が確認出来たようである。

 休憩後、次の休憩地点を東成瀬の岩井川旅の駅である事を確認して出発する。仙北平野に出ると路面も乾き始め、空には青空が広がって今日は雨に当る心配は無さそうだとその時は思ったのだが。

 新人の2人はもう何年も前からFUNKYで走っていると思えるほど自然に隊列を組んで走っている。これは春のツーリングの経験が生きているのかの知れないな。


 岩井川の旅の駅に到着し、トイレタイム&休憩となった。ここまで結構気温が低く、皆さん全員トイレに駆け込む。トイレの後は温かいコーヒーが飲みたくなる。出したら飲む?飲んだら出す。これ鉄則です。

 これから向かう国道397号のつぶ沼までの走り方を打ち合わせた後出発する。この道の登り始めには、大きなペアーピンカーブがあって以前から走り屋(四輪)のドリフト痕が付いていたが、その路面に赤い横縞が出来ていてドリフトが出来難くなっていた。

 バイクも当然走り難いのだが、この赤い横縞はコーナー出口まで(ドリフト対策だから当然出口まで続く。)有るため気になって走っても楽しくない。この横縞ここだけだと思ったら、大森山トンネルまでの秋田県側ヘヤーピンコーナーのほとんどに造られていた。この国道397号の路面が荒れてきている事もあって、秋田県側はもう走っても楽しくない道になってしまったようだ。

 最初のヘアーピンを過ぎてM氏、S氏、F氏を前に出し、その後を私、N君、N氏の順で追う。M氏とS氏はパワーにものを言わせて昇り勾配の道を駆け上がって行く。F氏は久しぶりの走りでペースが上がらないようで、前の2人からは遅れていて我々(私とN君)が追い着き、そのままF氏の後に着きトンネルまで走る。トンネル先の橋の上で打つ合わせ通りM氏とS氏が待っていた。

 一旦前に出た私だが、今度はM氏とS氏を前に出しその後を追う事にする。私の後ろにはN君が着いている。その後をF氏、N氏が走る。

 先頭のM氏は、落ち葉が落ちていたり水が流れていたりする路面状況の一定しないこの道を慎重かつ大胆に攻めて行き、そのM氏をS氏がピッタリとマークしている。S氏は暫く前に交換したブレーキパッドがようやく当りが付いてきたようで、突っ込みが大分鋭くなってきたようだ。

 細かく左右に回り込んでいるここの道はTZRとしては得意とする所で、2人の後を着いて楽しく走る事が出来た。私の後ろのN君は徐々に遅れているようで、途中からミラーの中から消えて行く。

 先頭のM氏は、つぶ沼で後続を待ことにしてパーキング入口でバイクを止めた。我々が到着して間も無くN君がやって来た。この時間でやって来るとは、N君の実力侮り難しである。我々はその後のN君の走りから、N君がこの1年で2万キロ以上走った事が伊達では無い事を思い知らされる事になるのである。


 それから少し間が有って、山の向こうからF氏のFZ750サウンドが聞えて来る。F氏のテックサーフエキゾーストは音量規制ギリギリの音を奏でていて、その音が山々に響き渡って聞えて来るのだ。音がしているという事は走っていると言う証明で、この音が途切れるのが怖い。

音が聞こえてから少ししてF氏が来て、それからまた少ししてN氏が到着する。全員揃ったところで石淵ダムサイトに在るパーキングまで走り休憩となる。


 N君は前の「3台には着いて行けない。」と残念がっていたが、着いてこられては前3台の立場が無いでがないではないか。離されて良いのですよ。

 一方N氏は遅れた事で皆さんに迷惑を掛けたと恐縮していたが、先着した人間は遅れて来た人間に対して遅くて苛立つ事は無く、どちらかと言えば待つ事は速さの証明でもあって快感なのである。遅ければゆっくり休憩出来るしね。あまりに遅すぎると何か有ったかと心配になるので、走るステージの長さにもよるが10分以内で来てもらえば問題ないでしょう。つぶ沼でN氏を待った時間は5分も無かったと思います。

 遅れた事で焦って事故られるのが一番困る事なので、自分のペースで走りを楽しんでもらって良いと思います。グループで走ってはいますが、結局は自分が楽しければ良い訳で前の事まで気にする事はありません。しかし、単独走行が長く続くと結構不安になって来るものです。自分のために、前に遅れないよう努力する事は必要かと思いますが。

 前を走っているライダーの気持を代弁すれば、止まってやっと休めると思ったら後続が直ぐ来てしまい、休む事無く走り出すのは結構ガッカリするするものなのです。

 暫しの休憩の後、水沢方向に走り始めた我々の前にいつもと違った道が現れた。この地域では以前から胆沢ダムの工事が行われていて、右手の山に新しい道路が造られていたのは知っていたが、今回ダム本体が造られる場所の手前から右手の山に上って行く道路が出来ていた。以前の道は通行止となっていたため、我々はその道を上って行く。

 この感じは森吉ダムが造られている太平湖手前の道と似ていて、下から上っていくと山の中腹には立派な道が出来ていた。この道はゆくゆくはつぶ沼まで延びる事になっているので、近い将来つぶ沼から石淵ダムに下りないで行ける様になるはずだ。そしてこの道は新しいだけに路面も良く、玉川ダムの宝仙湖沿いを走る道に似て走って楽しい道であった。愛宕からつぶ沼まで全線完成すれば走り応えのある道になりそうである。

 愛宕から国道397号と別れ、国道107号の横川目を目指す。横川目のGSでガソリンを給油する事にしてM氏とS氏が先に出す。私は後の3台を引き連れてその後を追った。この道は途中に集落や温泉、牧場などがあって、結構気を使う道で状況を探りなから走り横川目に着く。

 M氏と約束していた横川目のGSにM氏とS氏の姿が見えたが、M氏が手で大きく×印を作っている。良く見るとGSには電気が付いてなく休みのようであった。我々はそのまま信号を右折し国道107号に入り、後ろから追い付いてきた2人と共に北上に向かう。途中左側に有るGSを探しながら走るがGSは右側ばかりで、国道4号を横切った先にあった右側のGSに入る。


 F氏、バイクから降りてヘルメットを脱いで見てビツクリ!! ヘルメットのエアーインテークに蝶ではなく蛾が刺さっているのを発見する。普通走っていれば風圧で落ちてしまうと思うが、刺さり方がよほど上手かったと見え鶏冠のように立っている。このような自然と融合したヘルメットが有っても良いかもしれないと思ってしまった?


GSの事務所で休憩を取っていて、N氏の表情が冴えない事に気付き、FUNKYの走りに慣れずに疲れてしまったのかと思い「疲れた?」と聞いてみた。

 N氏の返事は私が予想もしなかったものであった。


     バイクの師弟関係 ツー ショット


 N氏曰く 「朝食を5時過ぎに食べたため、腹が減ってきた。」 私はまさかこの時間(午前10時)で、N氏の電池が切れとは思ってもいなかった。確かに朝食を食べてから4時間以上経っており、通常であれば昼食の時間ではある。しかし、今までFUNKYで10時にお腹を空かして電池切れを起した人間はいなかったように思う。0.1トンの身体を動かすには、想像を越えるエネルギーが必要である事を知る。

 私の予定では、ここから遠野まで走りカッパ淵等を見学しながら休憩を取ろうと考えていたが、先ずは皆さんのエレルギー補給ため遠野でコンビに立ち寄る事にする。



 GSを出てJRの線路を潜り北上川の手前まで来て私は一瞬迷ってしまう。この道は今まで幾度となく通っていたが、北上から遠野方向に走った事は無かったため自身が無かった。この道は国道107号からは外れているため道路標示もハッキリしていないのも私を惑わせた。正解は北上川手前を左折であったのだが、私は直線してしまった。北上川を渡って「ヤベーッ」とは思ったが何とかなるだろうと走って行くと信号が有る広い道に出る。私はそこを左折したが後続が信号に捕まってしまい道路左側にバイクを止める。

 私はこれを直進すれば107号に出ると読んでいたが不安も有った。信号が変わって後ろがやって着て揃って走り出すと、間もなく遠野と言う道路標示が見え正面に立体交差の道路が現れる。正面の上を走っている道路が107号のようなので手前からアプロ-チ道路に入り上の道路に出る見ると、見た事のある107号で内心そっと胸を撫で下ろす。

 走り慣れた107号を遠野に向かって走るが、今日は結構交通量があっていつもは結構楽しめるダム湖沿いの道も車のケツを見ながら走る事になってしまった。遠野の街のバイパスを走って行くと、何やら駅伝競走らしき事が開催中で道路が渋滞している。我々は渋滞の後ろに着いて走っていると外側から県外ナンバーのバイクが勢い良く追い越して行く。この手のライダーはどこにでもいるのだと判ってはいるが、いつも腹立たしい気持になる自分である。

 道路左側にローソンを見つけ休憩にする。早速皆さん食料の買出しに走る。時間はまだ11時で昼食には少し早いが、これから先のコースは山ばかりで食事を取れる所は暫く無さそうそうなので、私もサンドイッチとお茶を買って腹にいれる。

 今回の主役N氏もパン等を購入、途切れ掛けたエネルギーを補充する。そしてN君をはじめ他の皆さんもエレルギーを充填した。



 コンビニを出て国道340号に左折した我々は、多くのバイクや車が停まり観光客で賑わう伝承館の脇を通過して立丸峠に向かう。コンビで時間を使ってしまったので今回はカッパ淵はパスする事にする。見学したい方は個人的に行って下さい。カッパ淵と言ってもただの小川ですけど。






 立丸峠は岩手の山奥によく有る道は狭いが舗装はされている峠だが、以前走ってから十年ぐらいは経っているので道路改修が進んでいるかと思ったが殆んど変わっていなかった。それでも峠の手前のワインディングで少し頑張ってみた。先頭の私は人家が途切れて所でペースアップ、私の後をM氏が追って来るのがミラーの中に見える。






 M氏が私を追い始めコーナーの立ち上がりでアクセルを開けた時、M氏のYZFに履いたRENNSPORTタイヤが一瞬空転、そして次のコーナーでもまた空転した。空転と言ってもその挙動は穏やかなもので特に危険なものではなかったのだが、そこまでバイクをバンクさせないで走っていたためタイヤのサイドが温まっていなかったため滑ったようである。この空転でタイヤサイドの温度が上がったのか、その次のコーナーからは空転する事なく走る事が出来たそうで、RENNSPORTタイヤ多少の気難しさをお持ちのようだ。

 道が狭くなる所で後ろ待ち全員揃って狭い峠を慎重に越える。数年前大槌町からこの国道340号に出た事があって、その合流点に出る。ここからまた道路は広くなり一気にペースを上げる。この川沿いの道は道路改修が進んでいて走り易くそして楽しかった。結局国道106号の川井村までM氏と共に一気に走ってしまった。106号に出て右折し後続を待つ。まずN君がやって来た。少しおくれてS氏、F氏、N氏の順で到着し新里村を目指して宮古方向に走り始める。

 国道106号(ここは国道340号と供用区間。)は交通量が多く車の後ろをゆっくり走り、茂市でまた単独国道340号に左折する。ここから国道340号はJR岩泉線沿いに走るようになるが、最初の区間は道路改修が進んでいてハイスピードな走行が続く。しかしJR岩泉線のなかさと駅付近から道は狭くなりセンターラインが無くなる。和井内の集落を過ぎると舗装はされているが道は殆んど林道状態で、沢沿いの狭く曲りくねった道が続く。

 こんな山の中の道でありながら、道路脇には通学路注意の看板が沢山立ててある。こんな山奥にも学童がいるか?と思ったが看板が有るのだから人は住んでいるのだろう。和井内に小学校が有ったから、生徒はこの長い山道を歩いて小学校に通っていると思われる。私にはこの道を小学生が歩いているとは信じられない。

 JR押角駅の脇を通り過ぎると道は押角峠の登りとなり、道は沢から離れ一段と険しい登りとなり雄鹿戸トンネル(580m)へと続いて行く。このトンネル1935年と言うから今から70年前近く前に造られた物のようで、道幅が狭く車が対向するには大変そうだが、車は殆んど走っていないからがそんな心配はいらないだろう。狭く長いトンネルであったが、電灯が灯っていて安心して通る事が出来た。狭く無灯のトンネルは走って気持の良いものではなく、岩手を走っていると結構その手のトンネルに出会う事が多い。

 トンネルを出て下って行くとまたJR岩泉線の線路が見えてきて線路と絡むように走る。ここの道は所々道路改修されていて突然2車線の良い道になったと思うとまた1車線になったりを繰り返す。ガンガン走って一休みを繰り返し、大川を渡る橋の所で後続を待ちまた走り出す。我々は橋を渡って右折し岩泉方向に向かったのだが、橋を渡って左折するとその先にはJR岩手大川駅が有り、小・中学校やGSもある事をこのレポートを書いていて知った。

 こんな人が住んでいなそうな山の中に中学校が有る事にも驚いたが、その先の道を辿って行くと早坂高原や岩洞湖に出る事を知ってまた驚いた。早坂高原のパーキング向かいには道が有って、いつも何処に行くんだろうと見ていたがこんな所に繋がっていたとは知らなかった。また岩洞湖近くの道を走っていると脇道からオフ車の軍団が出て来るのによく出くわすが、その道共とも繋がっていて最終的には北上山地の山の中を走り盛岡市まで行けるようである。

 しかし、その道が全線舗装されているとは考えられずFUNKYのツーリングコースには採用出来ないと思われる。セローで一度走ってみたい道では有るが、セローでここまで来るのには尻が辛そうである。
 JR浅内駅を過ぎて国道340号と455号との供用区間に入り小川のバイパス沿いにあったカラオケBOXとお店のハイブリット店で休憩する事にする。遠野を出てからここまで二つの峠を越え105km近くを1時間半で一気に走ってしまった。

 時間は昼を回り日差しも強くなって、朝と違って暑くなってきたため、着ている物を脱いでいる人もいる。中には革のスーツの中はTシャツ1枚だと言うのに暑い暑いを連発する御仁もいる。誰とは言わないがこの御仁、冬でも室内ではTシャツ1枚で過すと言うから、我々凡人とは体の構造が違っているようだ。

 休憩後、昼食とガソリン給油のため葛巻に向かう。途中の国境峠で後ろの事も忘れまた燃えてしまいました。M氏とその後ろをN君が追って来ていたようでしたが良く覚えていません。峠を越えた後は、暖かな日差しを浴びながらユッタリとしたペースで葛巻まで走る。

 葛巻に到着し、6月の3rd.ツーリング時立ち寄ったGSに入り給油すると、前回と同じ女性がガソリンを入れてくれる。このGSは隣の修理工場が経営しているようで、その女性は経営者の奥様と思われ我々6人の対応に大忙しであった。そこに旦那が応援に駆けつけ無事我々の給油は終了する。

 給油の後は遅くなった昼食の心配である。私は以前に葛巻の街中に美味しいお蕎麦屋さんが有ると言うのを本で読んだ事があったので、旦那にそのお蕎麦屋さんの事を聞いてみた。旦那によると確かにそのお蕎麦屋さんは有るようなのだが日曜日は休みかもしれないと言い、親切にもそのお店に電話を掛けてくれた。電話は呼んではいるものの、出なかった。

 そこでここらで食事が出来る処はないか聞いてみると、ここから数百メートル先の左側に○○屋と言う食堂が有る事を教えてくれる。そこにも蕎麦は有った筈だとも教えてくれる。時間はもう1時を回っており、我々は空いたお腹を抱えながら○○屋を目指してGSを出発したのであったが・・・。左側に有る筈の○○屋が見付けられない。無い・無い・無いーーッ。とうとう街並が途切れた所まで来てしまって止まった。

 後ろのM氏にも確認したが、M氏も見付けられなかったと言う。ここからまた引き返す気にもなれず、我々は空いたお腹を抱えてまま岩手町沼宮内に向かったのである。



 沼宮内で国道4号に出て、盛岡方向に走って行くと道の駅石神の丘を発見、ここで遅いランチにする事にした。







 バイクを止め建物の一番奥にあったレストランに入る。横には十割蕎麦と書いた幟も有ったが、店の形態がファーストフードタイプの店で有ったため、今回は遠慮した。私は美味しい蕎麦を食べる時、その雰囲気も一緒に味わうタイプの人なのだ。しかし、腹が減っている時は何でも食べます。

 時間はとっくに2時を回っており、私は急ぐ時はカレーと言う事でカツカレーを注文、皆さんはブルーベリー・ビーフカレーが2名、春みどりハンバーグ2名、海老天丼1名を注文する。ここで話題になったのは、ハンバーグの頭にも付いている春みどりなる文字。



 何で春みどりなのかが判らなかったのだが、誰かが春みどりと書かれているポスターを発見してその謎は解かれた。そのポスターにはキャベツの写真が載っており春みどりとはキャベツの事であるようだ。

 ここ岩手町は春みどりキャベツの産地で、道の駅石神の丘では大々的に春みどりキャベツを売り出し中であった。レストランのメニューの中にも春みどり冷麺、春みどり中華ざる等の春みどりの名前が並ぶ。

 確かにカレーに付いてきたサラダのキャベツは新鮮で美味しかった。しかし、食べていないので断定的な事はいえないが、キャベツその物に特に味が有るとは思えずそれを練り込んだ麺が旨いかどうかは疑問が残るところだ。


 ここ岩手町のもう一つの特産はブルーベリーのようで、S氏とF氏が食べたカレーの中にも入っていた。両氏のよると、確かに言われてみればそんな気がする程度の物であったらしい。

 FUNKYとソフトクリームは切っても切れない関係にあって、レストラン入口で売っていたぶるーベリーソフトクリームは当然チェック済みであった。食後のデザートに早速注文する。ソフトクリームを作る人の平均年齢は私は二十歳以下だと思っていたが、ここの女性は平均より大分上と思われ出来上がりの形に期待が持てた。若い連中が作るソフトクリームは、形が整った物が少なく歪な物が多い。


 そのチョッと年齢が高目の彼女が作ったぶるーべりーソフトクリームは、トップが少し曲がってはいたが綺麗にとぐろを巻いて出てきた。見本のどぎついラベンダーカラーよりは淡い色で第一印象は結構良かった。

 しかし、ヒトナメしてこの岩手町特産ブルーベリーを使った特製ソフトクリームが、普通のどこにでもあるソフトである事が判明した。ブルーベリーが入っているのは感じられるが、ベースのクリームが普通の物を使用しているためかごく普通のソフトになっている。もっと研究する必要があろう、この程度の物では名前で一度は食べても二度目は無いと思われる。



 レストランの外に出た私は、春みどりソフトクリームを売っているのを発見し、早まってしまったと思った。

 ラベンダーソフトは前にも食べた事が有ったが、キャベツのソフトは見た事も食べて事も無く、ここは春みどりソフトに向かうべきだったと後悔したのである。

 しかし、その後独りのチャレンジャーによって私の選択が正解だった事が証明される事になった。


 N君が薄いグリーン色をしたソフトを手に持ち、むずかしい顔をして歩いて来る。「やられたーッ」と思った私であったが、N君の「不味いです!」の一言で救われる。春みどりソフトは、確かにキャベツの味はするがそれはクリームとは相容れない味で、青臭いだけのソフトクリームであるようだ。N君、この春みどりソフトを完食するのに多くの時間を費やしたのは言うまでもない。

 遅い昼食を終えバイクの所に戻ると空からポツリ、ポツリと落ちてきた。空は青空も出ているが所々に黒い雲も見え、はっきりしない空模様だ。本格的な雨にはなりそうもないが、これから向かう八幡平の天候が気になる。我々は、沼宮内から松尾村に出て八幡平温泉郷から松川温泉を経由し八幡平樹海ラインを上って八幡平に上る予定であった。

 8月末のFUNKY5th.ツーリングでも八幡平(秋田県側)に上がっていてその時は車が少なく楽しく走れたのだが、岩手県側の樹海ラインは最近ドライ路面で走れて事がなく、今回も山の上に雲が掛かっていたらパスする予定で出発する。

 松尾村に向かって走って行くと、八幡平の上に雲は有るが八幡平山頂は見えていて今日は何とかドライ路面で走れそうな感じである。北海道で痛めた私の首はまだ直っておらず痛み止めの薬を飲んでいたのだが、昼食後に飲む分を忘れていたため八幡平温泉郷手前でバイクを止めて薬を飲む。この薬、飲んでもあまり効かないのだが、走っている時首の軟骨が神経を圧迫して左腕の付根に痛みが走るため、気休めに飲んでいる。この痛みが出ると走りに集中で出来なくなり、遅くもなるが楽しく無くなるのが私的には痛い。

 八幡平温泉郷前の信号を右折して松川温泉に向かう道は、狭く曲がりくねっているため前に車がいると追い越しが出来ない。追い越しが出来ないのはそれはそれで良いのだが、前の車がディーゼル車だとそんな悠長な事は言っていられない。最初に追いついたのはワンボックスのバンで曲りくねった上り坂を黒煙を吐きながら走っている。暫く黒煙を浴びせられた後なんとが前に出たのだが、その先にまた小型ダンプが走っていてまた黒煙の洗礼を受ける。

 いい加減にして欲しい。関東地区ではディーゼルエンジンの規制が始ったと言うが、全国的に規制して欲しいものだ。外の空気を直接吸うライダーに取って、ディーゼル車の黒煙は肺ガンの原因物質で有るようだし死活問題である。小型ダンプは松川温泉峡雲荘に消えて行き、黒煙から開放された我々は樹海ラインに右折する。

 ここで私は最後尾まで下がり後ろから追いかける事にする。N氏、F氏を抜き前のM氏、N君、S氏の後に着く。これから楽しくなろうとした時、何と路面がウエットに変わってなってしまった。それでも雨が大した事は無く雨具を着るほどではなかったのだが。

 先頭のM氏は、後ろから来るF氏とN氏を待つため樹海ライン中間地点にあるパーキングに入った。N氏とは結構間隔が開いていたようで暫く待つ事になったが、走行経験の少ないN氏に取ってワインディングロードのウエット走行は結構緊張したろうし、また単独走行となって心細くもなった事だろう。何事も経験で、このような走行体験を重ねる事でチョッとやソッとの事ではビィビィらなくなるのである。

 また走り始めた我々は、M氏を先頭に2番手をN君、その後を私が追い掛ける形で走る事になったのだが、ここまで上って来ると路面は完全なウエット、気温も下がってきた。M氏は今回RENNSPORTタイヤで初めてのウエット路面ワイディングを走っているのだが、そこそこのペースで走れているようだ。私を驚かせたのは2番手N君の走りであった。ウエット路面になってもペースが落ちることなくピッタリとM氏をマークして走っている。私は前の2人に少し離されてN君との間に間隔が開いてしまった。

 紅葉見物の観光客が道路脇にカメラを並べていてウロウロしているのに気を使いながら何とか藤七温泉まで来ると、霧が濃くなってきて視界が10m位に落ち、気温も5℃以下と思われる程寒い。ここで私が先頭になり車の後ろに着いて峠の駐車場まで行き、そこを左折秋田県に入る。

 ここから少しの間道は上り坂で一番高い所に見晴台と駐車場がある。我々はセンターラインを頼りに超スローペースで走っていて、その駐車場に差し掛かった。そして霧の中から現れた物とは?

 昔ばなしにかさじぞうと言う話がある。それは、ある村の貧しいおじいさんが、お正月におばあさんと食べるお米を買いに、古着を持って町に出かけました。しかし古着は売れず、しかたなく笠と交換して雪の積もった道を行くと、寒さの中で立っているお地蔵さまを見つけました…。みたいなーッ話だったと思うが、霧の中から現れたその物は、冷たい風に背を向けて霧の中で微動だにしないで椅子に座り、頭の上にはチャンと傘?が掛かっていてかさじぞうを見ている様であった。

 私は傘の柄の横に円筒状の大きな筒が置かれているのを見て、それはお地蔵様でなくババヘラおばさんである事を理解する。この霧の中でアイスクリームを買う客などいる筈もなく、ババヘラおばさんは冷たい強風の中で迎えのバンをジョーッと待っている様であった。その姿はもう仏様のような荘厳なお姿で、私は思わず手を合わせたくなってしまった。

 ババヘラおばさんは霧の中に消えて行き、我々は寒さと霧に耐えながら八幡平アスピーデラインを下って行く。昔料金所が有った辺りまで来ると、我々は雲の中から出たようで視界が開ける。周りの景色は岩手県側より紅葉が進んでいて色鮮やかな葉が山々を彩っている。

 蒸の湯入口を過ぎ、後生掛温泉手前の左コーナーに我々の注目が集まる。9月11日、N君が北海道に旅立つ我々を秋田港に見送った後八幡平を訪れ八幡平樹海ラインを往復して楽しんだ帰り道、愛車バンデット400を廃車にしたのがこのコーナーで、この夏4〜5台のバイクが事故った所でもあると言う。

 私も今まで何十回となく走った事のあるコーナーで、私には特に危険なコーナーと言う印象は無かった。改めて見てみたがやはり特にキツイコーナーでもなく、私にはアスピーデラインのどこにでも有りそうな左コーナーに見えてが、事故が多発していると言う事は何か特別な要因があると思われ、皆さんも蒸の湯と後生掛温泉の間は気を付けて走って下さい。

 大沼を過ぎた辺りから路面はドライになってきて、頭の中で或る事が私を悩ませ始めていた。今日の予定では、アスピーデラインを下って志張温泉元湯に立ち寄り温泉に入る事になっていたのだが、私は路面がドライと言う事でこのまま国道341号を玉川温泉、田沢湖方面に走りワインディングを楽しみたいと言う気持が大きくなって来た。また時間的にも田沢に抜けるまでは暗くならないと思われた。

 しかし、ここまで450km以上走っていて初参加者が2名いると言う事もあり、ここに来てのスペシャルステージはメンバーに過度の負担を強いる事になる事が心配された。あれやこれや考えている間にアスピーデラインが終り国道341号に出てしまった。ここで私はウインカーを右に揚げ志張温泉元湯行きを決断する。

 スペシャルステージは楽しいが、今までに疲労が蓄積されて来ているため集中力が切れての事故が怖かった。それに私は途中で予定を変えると、経験上ろくな事にならないのも知っている。ここは予定通り温泉に入って冷えた体を温める事にしたのである。志張温泉横の細い道を入って志張温泉元湯に向かう。

 志張温泉元湯は7月に訪れていて道は良く知っているはずであったが、道の舗装が途切れて砂利道になって私は迷ってしまった。前回来た時は砂利は無かったと記憶しており、私は入口を見過したと思ってしまった。全員Uターンして引き返したのだが入口は見付からず、私は皆を残し1人またUターンして奥を見に行く。先ほどの砂利道は数十メートルで終りまた舗装路になっていて舗装修理のために出来た砂利道であったようだ。私は温泉がこの奥に在る事を確信して皆の所に戻った。

 皆様方にはもう一度Uターンして頂き温泉に向かったのだが、今回の私の勘違いでS氏には大変御苦労を掛けてしまった。S氏の2002モデルR1は、ハンドル切れ角が少ないためUターンが苦手で他人の数倍の切り返しを必要とするのである。



 何とか志張温泉元湯に到着し玄関に行くと誰もいないし、呼んでも誰も出て来ない。中に上がって厨房に行ってみると、ご主人と思われる男性がいて夕食の準備で忙しそうに働いている。お風呂に入れるか聞いてみると良いとの返事であった。

 温泉によっては夕方からの日帰り入浴を断っているところがあるので、先ずはひと安心である。皆に入れる事を知らせて私は浴場に行く。この温泉は無色透明なサラッとしたお湯で、アトピー性皮膚炎にも効くという単純温泉(低張性弱アルカリ性高温泉)であ



 S氏、F氏、N君は入って来たが、どうした訳かN氏とM氏が入って来なかった。他の人に聞いてみたが知らないと言う。そのうち来ると思っていたが、結局最後まで来なかった。

 あらゆる温泉を飲む男F氏は、今回も志張温泉元湯に挑戦したが飲んだ感想は 「ただのお湯。」 であった。脱衣所の壁にはこの温泉を飲用する場合の注意事項が細かく書かれていて、1回で飲む量、1日で飲む量等が決められていたのだが、私が飲んだ印象ではそんなに神経質になるような味ではないように思われた。しかし、皆さんは注意事項を良く読んで飲むようにして下さい。

 温泉から出て玄関の上がり口にあるソファーの所に行くとM氏とN氏が居た。M氏はお腹の具合が悪いと言う事で今回は温泉を諦めたらしい。一説には昼食で食べた天婦羅の油が悪かったのではと言う話も有ったが、M氏またまた外れのメニューを引き当ててしまったのか?

 N氏が温泉に入らなかった理由は、単に脱いだり着たりが大変からだそうでだそうで、人にはそれぞれ色々な事情があるものだと納得してしまった。

 この谷間の温泉宿で携帯電話が通じるかどうかが話題になった。F氏のドコモ携帯は圏外で、N君が持っていたボーダフォンも当然圏外だろうと思ったら1本アンテナが立っていると言う。こんな山奥でも通じるボーダフォンのアンテナはどこに設置されているのだろうか。ボーダフォン侮るべからずである。

 時間は5時半を回って谷間のこの辺りはすっかり暗くなってしまっていた。予定ではここから金山黒沢トンネルを通って大葛に出て、砂子沢峠、太平湖を通って阿仁前田から上小阿仁に出る事になっていた。皆さんさすがに夜の狭い山道は勘弁して欲しいとのご希望で、大葛から比内に出て国道285号使って帰る事になった。6時前、志張温泉元湯を出発する。大葛からは完全に日が落ちて真っ暗闇の田舎道を走る事になった。


国道285号に出て米内沢を通過し、上小阿仁の道の駅に6時50分頃到着する。ここの食堂はラストオーダが6時50分と記憶していたので、バイクを降りて急いで食堂に走ると、カウンターの中で忙しく動き回っているお兄さんは私の方を見て一言。「終わりました。」 「そうですよねー。終りですよねー。」と私は心の中で呟いた。

 ここで固形物を食べられないのならこの先のローソンに止まれば良かったと思ったが、今更向かうわけにも行かず減ったお腹を抱えてまま自販機の前に立ってボタンを押す。皆さん温かいコーヒー等を飲んで体を温める。

 ここでまたまた私には心配事があった。葛巻でガソリンを入れてから200km近く走っていてガソリンが心配になっていた。まだ予備タンには入っていなかったが、秋田までは50km以上あって秋田まで持つかどうかが微妙な所である。そこでタンクキャップを開けてマグライトで中を覗いて見ると、予備まではまだ少し有りそうな感じなのでこのまま行く事を決断する。最悪の場合はポンプを持参しているので他車からの空中給油を受ける事が出来るのだ。

 上小阿仁の道の駅を出た我々は、五城目の道の駅の先から広域農道に入り一気に秋田を目指す。直線路の登りを結構なスピードで駆け上っていた時、それは来てしまった。選りに選ってアクセルが全開に近い状態で来てしまったため、急激に減速してしまい後続をビツクリさせてしまった。申し訳ない。

 急いで左手でノブを探し出しコックを切り換える。スペシャルステージなどを走る場合私はコックを予め予備に切り換えて走り出すのだが、今回は油断をしてしまった。しかし、この場所で予備に入ったと言う事は秋田まではガソリンは持つと言う事で、ここで私の心配事は一つ消えた。

 8時少し前全員無事秋田に到着する。今日のツーリング予定では550km(距離の計算は私の大体の勘で決める。)走る予定にしていたが、トリップメーター数字を見て驚いてしまった。メーターの数字は635を示していて、この635と言う数字は最近に無い多い数字であったのである。予定のコースを変更した事で距離が少し延びたが、85kmの計算違いも最近に無い大きい数字であった。それよれよりも何よりも初参加の2人が635kmの距離を無事走り切った事に驚いてしまった。

 FUNKYツーリング初参加で635kmも走ってしまったN君、N氏の両氏は、顔色も良く思ったより元気であった。FUNKYツーリングに参加して帰って来た時、疲れ果てて青白い顔をしていたり無口になってしまった人が今まで何人いた事か、この2人は素晴らしい耐久力をお持ちのようだ。

 今年初参加のS氏とF氏も、いきなりの635kmツーリングで疲れたと思うが、またの参加をお待ちしております。しかし、仕事の都合で参加出来ないのは辛いものがあるなー。

 最後に全員の集合写真を撮って解散となった。


 今回のツーリングは2名の初参加者、2名の今年初参加者が有り、いつもと違った雰囲気で走れたのが楽しかった。

 FUNKYでは新たなチャレンジャーを募集しております。

 このレポートを読んで一度FUNKYと走って見たいと思ってしまったお馬鹿さん、是非下記にご連絡ください。

 info@moto-hirata.com

 今年のFUNKYツーリングも次回が最終ツーリンとなります。















            終り



                         Report by Ryuta


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2003.10.5
FUNKY 6th.Touring

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