2001. 5. 5      河北(かわきた)林道の郡境の山
秋田ヤブ山紀行     アンダーラインの部分をクリックして下さい。写真が表示されます。     
  河辺郡河辺町から北秋田郡阿仁町を結ぶ県道河辺・阿仁線、通称河北林道(河辺郡の河と北秋田郡の北を取ってかわきたと呼ぶのだそうです。)の郡境に峠があり、何かの碑が立つこの峠から尾根ずたいに東に登ると1,016.6mのなだらかなピークがあります。今日の目的地点はこのピークです。

  2001年5月5日(子供の日)午前6:00時秋田市手形を出発する。太平、岩見三内を通過して岩見ダムをめざす。ユフォーレの入口から車が3台出てきて我々を2台目と3台目の間に挟み込む。前を走る車の中には、後ろから前が見えないほどの荷物が積まれゴールデンウィークを利用した旅行中であることが推察(実際、山の帰りに井出舞沢出会の園地で、バーベキューらしきことをしてアウトドア−ライフを満喫しているのを見かけた。)できる。岩見ダムを過ぎても車は我々の前を走っている。やがて道はジャリ道に変わり、車のスピードが遅くなるが車は道を譲ろうとはしない。私は車を運転するドライバーに提言したい。車で砂利道を走っている時オフロードバイクに後ろに付かれたら道を譲り、先に行かせましょう。そうすれば互いにやさしい気持ちになれます。正直、車の砂埃はバイクには辛い。

  河北林道の赤倉沢分岐を過ぎたあたりで、突然何かが走り始めた。バイクの前を一生懸命走っている。けっこうなスピードである。時速40km/hは出ている。それはそう、日本カモシカでした。追いつかれそうになって、カモシカは転げるように道路左のヤブに消えていきました。驚かしてちょっと悪いことしちゃった気分。今日はもう一匹、道路右側の斜面にカモシカを見た。秋田の林道を走っていてカモシカを見るのは、そうめずらしいことではないのです。

  郡境の峠が近くなって高度が高くなると残雪が道路脇に見え始め、ついに北斜面の道で雪で道路が覆われている所に遭遇する。距離は50m位であるが雪は柔らかくバイクに乗って走るとタイヤがもぐって走行不可能。結局バイクを押して進む体力勝負になる。止まると再スタートが大変なため一気に押し進む無酸素運動になり400mを走った直後の様に(実際は一生懸命走ったことはないが)非常に苦しい。お互いに助け合いながら何とか通過するが、この後、同じような雪の場所が数箇所現れ、我々の体力を奪っていった。さらに進むと、直径50cmほどの木が根こそぎ倒れて行く手を塞いでいる。谷側の一番低い所の土砂をならして、バイクが乗り越えられるところを造り慎重に一台ずつ通過する。また道路上を雪解け水が小さな川となって流れていた。その部分がバイク一台分の自然の融雪道路となり我々の通り道をつくってくれていて、楽に進むことができたのは助かった。

  通常なら5分位で通過するところを40分以上かけて、どうにか峠に辿り着く。峠はほとんどが雪に覆われていて人の入った形跡はなく、もしかして21世紀初めてこの峠に立ったのは我々かも?

  この峠は今まで何回となく訪れているが、登山道の登り口を見つけられずにいたが、草が生える前の今の時期だと簡単に登り口発見してしまった。体調を整えてam9:00登り始める。いつもなら残雪が現れるまで50分以上登らなければならないが、今回はバイクで高い所まで来られたので最初から雪の上を歩けるため、快適な登山となった。天候にもめぐまれ快調に残雪の上を進む。立ち止まりふと振り返ると、そこにはどっしりとした山容の白子森が我々の目の前にあった。

  立ち木が途切れた場所で小休止をとる青い空、白い雲、残雪の残る山々、そしてその下の新緑の山々。下界のゴールデンウィークの雑踏とは無縁の景色が我々の前に広がっている。ゆっくりと、しばしこの至福のひと時を堪能する。

  山頂に近づくと秋田の山々の特徴であるブナの原生林が現れる。ブナの林から見る青空は、いつ見ても繊細で美しい。

  登りはじめて1時間ほどで山頂に着く。まだam10:00である。早い、早すぎる。早すぎる昼食をとることにする。森吉山、番鳥森を眺めながらブナの森につつまれてゆっくりとカプチーノコーヒーを楽しむ。

  下りは白子森を眺めながらゆっくりと下ることにする。しかし30分そこそこで出発地点に着いてしまった。早い、早すぎる。まだお昼前だ。昼飯は食べたし、後の楽しみは温泉だけになってしまった。

  さっさと峠を後にした我々は、雪道で最後の苦しみを味わって、貝の沢温泉の湯船に飛び込んだ。今日あった事を思い出しながら、ゆっくりと心地よい疲労感を体に感じながらお湯に浸っていると、来年の五月のことを考えている自分がそこにあった。