2003.6.1
2003 FUNKY3rd.ツーリング


Report by Ryuta
秋田⇒角館⇒仙岩峠⇒雫石⇒網張高原

⇒滝沢⇒岩洞湖⇒
早坂高原⇒岩泉⇒

田野畑村⇒北山崎⇒久慈⇒平庭高原⇒

昼食 森のそば屋⇒葛巻⇒国道4号 一戸

⇒二戸⇒安代⇒国道282号⇒花輪⇒

大葛温泉(入浴)⇒比内町⇒米内沢⇒

五城目⇒広域用農道⇒下新城⇒上新城⇒

添川⇒
モト ワークス ヒラタ 
             走行距離 564km

 2003年6月1日は、FUNKY3rd.ツーリングの日であったが台風4号崩れの温帯低気圧が巡航ミサイルトマホークの様にピンポイントで東北地方を狙っていた。土曜日昼過ぎから雨が降り始め、日曜日の予報は秋田、岩手県共に降水確率80%となっている。しかし、FUNKYでは雨だからだと言ってツーリングが中止になったり延期なる事は無い。 今まで経験から600km走って全て雨だった事は無く、何処かでドライ路面と出会える事を知っている。 しかし、ただ漫然と走っていてもドライ路面とは出会えない。

 日曜日の朝、AM5:00前に起きて外を見る。雨は降っていなかったが、路面はウエット、空は曇り、東にある太平山は見えていて東の空は少し明るくなっていた。しかし、店に着く頃には太平山には雲が掛かり空も暗くなってくる。


 店に着いて早速インターネットの天気情報をチェック。雨雲のレーダー画像によると日本海や南部の方から雨雲の筋が秋田県に押し寄せてきているのが分かる。雲の衛星画像もチェックすると岩手県の太平洋側は雲が切れていて雨は降っていない様に見える。

 今日の予定は、秋田から仙岩を越えて岩手県に入り網張、小岩井を走って滝沢に出て早坂高原に向かう。早坂から岩泉を通過して田野畑村で太平洋に出て北山崎を走り久慈に出る。久慈から平庭高原近辺を走って葛巻の森のそば屋で昼食。ここまでが午前中の予定。

 午後からは、葛巻から岩手町沼宮内に出て松尾村から八幡平樹海ラインを走って八幡平を越え後生掛温泉に入り、玉川ダム、鎧畑ダムを通って生保内から46号で秋田に帰ると言う予定である。


    今日のP氏はお疲れモードで、座れば直ぐに眠りに入れる体制が整っていた。


 今日の天気状況では、八幡平は諦めなければいけないだろう。この時期の八幡平山頂付近はまだ雪が残っていて、悪天候になればガスで1m先も見えず、気温も5℃以下になる事をFUNKYは何回も経験済みである。

 最初に現われたのはM氏。今回も昨日まで音沙汰無かったが今朝5時の参加表明であった。そう言えば、今シーズンのFUNKYチャンプ宣言のP氏も音沙汰無い。

次にやって来たのはY嬢。今回がFUNKY復帰2戦目である。Y嬢のブーツはゴアテックス入りでは無い為、雨の日用に準備してあったゴアテックス製のソックスを履かせる。


 遠くで「ウォーン」というバイクの始動音がが聞えた様な気がした。そしてそれがハッキリとバイクの音であることが分かってくる。P氏がアパートを出て、アクラボビッチの音を奏でながらやって来たようである。近くに住む事を味噌汁が冷めない距離などと言うが、P氏の場合はアクラボビッチの音が聞える距離に住んでいる。

 これで今日の参加予定者は全部で四名となった。雨がポツポツと落ちてきて全員カッパを着ての出発となる。まずは国道13号に出て協和から国道46号に入る。46号に入って雨が強くなってきた。

 いつもは仙岩峠の峠の茶屋で最初の休憩を取るのだが、今日は雨の為早めに角館手前の24時間ドライブインで雨宿り休憩を取る。P氏は昨日まで何かと忙しかったご様子で椅子に座ると直ぐに眠りに入ってしまう。このままゆっくりしてしまうと何時間でも寝てしまいそうとP氏が起きたので早々に出発する。

 「仙岩トンネルを抜けるとそこはドライ路面であった。」を期待して雨の46号線を走る。雨の国道で無理は禁物で車に着いてゆっくり走る。46号線から田沢湖に曲がる所のバイパスの路面は、ウエット時よく滑り今までは発進や制動で何回かスライドした事があり注意が必要だ。

 車の列の後ろに着いて仙岩トンネルに入りそのまま岩手県側に出たが、路面はウエットのままだった。路面が乾いていたらトンネルの先にある道の駅でカッパを脱ごうと考えていたが、そのまま46号を走り雫石で網張高原方面に左折する。

 予定では玄武温泉から網張高原に上がって小岩井に下りる事にしていたが、下から見る網張高原は雲の中でこのまま行ってもガスの中を走る事になりそうなので、予定を変更して真っ直ぐ小岩井に向かう。小岩井農場に出た所で左折し今度は滝沢に向かう。雨は上がってきたが路面は依然としてウエットである。国道282号に出て右折し100m位走って信号を左折、国道4号線の下を潜ってJR滝沢駅前を通過、岩手県立大学の前を走って早坂高原に向かう。

 盛岡と岩泉を結ぶ国道455号に出て右折、外山ダムに登る道に差し掛かる。ここは昔峠小僧が結構走っていたが、最近はとんとお目に掛からない。路面はハーフウエット、所々にウエットパッチが有って神経を使うが今日はいつもより車が少なく、又道を開けてくれる車も有って順調に登って行く。外山ダムの橋に出る頃には路面は完全にドライになってペースが上がる。

 いつもは早坂高原の下った先のGSでガソリンを給油するのだがそこまでは200km以上はある。1st.ツーリングで10Km/L以下の燃費を記録したY嬢のTZR250R−SPは、キャブレターのジェットニードルを下げて燃費は良くなっている筈だがどの程度の航続距離を持つか未確認で、以前何回か給油した事のある外山に在る商店がやっているスタンドで給油する事にする。

 商店の手前で左にウインカーを上げてスピードを落すと、2番手を走っていたP氏はGOサインが出たと勘違いして独り先に行ってしまった。あとの3人はスタンドにバイクを停めP氏を見ていると、彼も後ろが着いて来ない事に気付き戻って来た。この後も今回の様に停止の為に左にウインカーを上げた時、P氏が先に行ってしまう事が有ったので何かサインを決めておく必要が有りそうである。


    早坂高原にAM9:10到着

 商店から以前と変わらないオバサンが出て来て給油する。私の スタンダード TZR250R は10.3Lのガソリンを呑み込んだが、Y嬢の TZR250R−SPは8.0Lしか入らなかったと言う。ギリギリまで入れたかY嬢に確認するとオバサンに遠慮して適当な所で止めた様である。燃費の悪いバイクは一滴のガソリンがドラマを作る事が有る。遠慮しないで給油口ギリギリまで入れてもらう事が肝要である。

 ギリギリまで入れなかったとしても私のTZRより給油量が2L以上少ないと言う事は、もしかしたらY嬢のTZR−SPは私のTZRより燃費が良いかもしれない。次の給油で確認したいところだ。P氏の化け物R1は、20km/L以上の燃費を記録しているようである。


 給油を終えここで全員カッパを脱ぐ。ここから早坂高原まではP氏を先頭にM氏、Y嬢、私の順番で走る。路面は完全にドライで先頭のP氏は気持ち良く走れたと後に語っていたが、Y嬢も前回の時と違って結構なペースで走っている。前の2台との間は開いてしまったが大きく遅れる事なく前を追っている。

 先ほど我々が給油中に、商店の前のコーナーをタイヤを鳴らしながら走り抜けていったHONDA インテグラ?(自信は無い)に追い着く。前の2台のバイクに追い越されたHONDAは2台のバイクを追い駆け始めた。四輪はコーナーリングスピードはそこそこだが立ち上がりが遅い為徐々に2台に離されていく。それでもHONDAはタイヤを鳴らしながら追い駆けたのだが、間に軽自動車が挟まったところで諦めた。我々はその二台をまとめて追い越して前の二台を追う。

 Y嬢の走りを後ろから観察してみると、前回のバイクと体がバラバラだった状態と違って、左右への体重移動が出来ていてスムーズにコーナーを抜けて行く。走りに集中しコーナーに進入して行くその後ろ姿にはバイクを駆る喜びが溢れ出ていて、Y嬢も久しぶりに味わうこの感覚を楽しんでいるようだ。

 景色は次々に流れていって、シェルターを抜けると早坂高原の看板が見えて来る。「何か早くナイ!!」昨年より今年、今年より来年。早坂高原は確実に近くなっていく、そう有りたいものだ。

 毎年ここに到着すると売店の店員さん達は開店の支度に忙しく働いている。店員さんが忙しく動き回っている中で、我々はベンチに腰掛暫しの休息を取る。


 M氏の後ろに立っていたノボリ旗がM氏の顔に纏わり付いて煩かったのを見て、P氏が旗を縛っている。この男も細かなところに気が付く男になったものだと感心してしまった



 リッターバイクと比べ非力なTZRの負担を軽くする為、髪を切って軽量化を計ろうと2〜3日前に散髪もといビューティーサロンに行ったY嬢は、沢山の髪型が載った写真の中から何とかボブと言う髪型を指定し、漫然とシートに座り出来上がるのを待っていた。

 オネイさんの「チョット短くナッチャイマシタ!」と言う言葉でそれは完了したのだが、鏡に映るその髪形は指定した写真の物とは似て無くも無いが同じとは言えない形状(モデルの問題も有るとは思うが)に仕上がっていた。しかし、もう大人になったY嬢は一言言いたい気持をグッと抑え、ウン千円を支払ってサロンを出た。


 切り過ぎたものは元に戻す事は出来ない訳で、何を言っても詮無い事。髪は時間が経てばまた延びる物。結果的には軽量化という目的には合致していたと言うことで「納得!!」してしまうY嬢であった。Y嬢、ヘアースタイルに拘りはないと言うのが本当のところかも知れない?

田野畑村で太平洋が見える。秋田から4時間20分。
 早坂高原を発った我々は、ヘヤーピンカーブが連続する下り坂を抜け、川沿いの中速ワインディングを走り岩泉に向かう。途中、毎年給油しているGSの前を通過するが、秋田から220km位の距離で、私のTZRでも予備タンを使えば無給油で来れそうだ。国道455号を快適に走って岩泉に着く。龍泉洞へ曲がる交差点を直進し直ぐに左に入って、田野畑村の国道45号線に向かう。この道は途中センターラインが無くなる所も有る山越えの狭い道だが、北山崎へは一番の近道である。 45号に出る手前数キロは2車線の中速ワインディング続くのだが、今年は路面に砂と言うか小石と言うか、とにかく前を走るバイクから飛んでくる物体でシールドがピチパチ言っている。四輪のタイヤレールを外しリヤタイヤが砂に乗ると、タイヤは直ぐに空転を始める為、砂の無い所を選んで走る。今まで何回と無くこの道を走ったが、このような事は一度も無かった。もしかしたら先日有った強い地震が影響しているのかもしれない。



 AM10:20。秋田を発って4時間10分で太平洋が目に飛び込んで来る。海岸線のパーキングにバイクを止め休憩を取り、この先に有る北山崎へのワインディングロードに備える。

 P氏はまだお眠のご様子でアクビを盛んに繰り返しているが、彼が後に語ったところによると彼のツーリングは早坂で終わっていたと言う。あとはオマケか?

 元有料道路であった北山崎の道は、リアス式海岸の海辺から断崖の上までの間を上ったり下りたりする道で、崖の上を走る所にはチョット長い直線があってスピードも乗るが、上り下りは深く回り込んだトリッキーなコーナーが多い。

 先行する2台を追ってY嬢の後ろを走るが、どうもY嬢まだトリッキーなコーナーの走り方が苦手のようでスピードが上がらない。Y嬢のTZRは私のTZRよりピークパワーが7馬力程度高い筈で全開で有れば離される筈だが、どうした事か登りの直線で追い抜いてしまった。どうもY嬢のTZR、直線でアクセルが全開になっていないご様子である。



 黒崎から普代村に下る頃から霧が出てきて視界が悪くなる。雨は降ってはいないが走りずらい。国道45号に出てまずは野田村の道の駅を目指す。

 AM11:10。陸中の野田駅に併設された道の駅に入り休憩を取る。




 Y嬢ソロソロ電池が切れてきたご様子。
 P氏はお腹が空いたご様子で、ここで野田豚(野田村で生産されている豚の肉はここの特産で以前食べたカツ重は旨かった。)を食べて昼食にしてはと提案する。しかし、葛巻の森のそば屋で昼食の予定だと話すと、「そばにします。」とのご返事であった。

 私は外でソフトクリームを売っているのを見つけソフトオタクとしては手が出かけたのだが普通のソフトの様だったので止めて、中で売っていた奥中山高原のアイスクリームを250円払って購入する。この場所で何故、奥中山(奥中山高原は内陸の一戸町にある。)のアイスを売っているのか疑問ではあったが、同じ岩手県と言うことで許す事にする。





 このアイスクリームが結構旨かった。私は少なくてもハーゲンダッツのバニラよりは美味しいと思った。ここで売っている位だから、岩手県内どこでも売っていると思われ、機会があったら是非食べてみる事をお勧めする。バニラの他に洋梨味など数種類の味が有ったようである。




 M氏は今朝起きてタバコを一服付けた後、何を思ったか6月1日は禁煙の日などと自分で自分の首を締めるような事を心に誓ってしまった。その為ここに来るまでの5時間近くM氏の体内にはニコチンは供給されておらず、当然M氏の集中力は散漫となっていた。売店カウンター横のケースの中にタバコを見てしまったM氏は、迷う事無く財布から小銭を取り出しタバコの名前を店のオバサンに告げていた。これで6時間にも渡るM氏のタバコの休煙(禁煙では無い。)は終了したのである。ニコチンはM氏の意思よりも強い。人間、意味も無く無謀な事に挑戦したくなる事が時々有るものだ。

 ここの道の駅は、三陸鉄道北リアス線陸中野田駅に併設されていて、鉄道はお年寄りや高校生に結構利用されている。

 我々の後に長野ナンバーの川崎重工製ライムグリーンカラー(男川崎はライムグリーンでしょ。)のGPZ900Rが道の駅に入って来た。タンデムシートには大きな荷物が積まれていてキャンプで旅しているようだ。

 彼はトイレを使った後、雨具を着て出て行った。確かにパラパラと雨粒が落ちてはきたが、雨具を着るほどの降りでは無いと私は思っていたら、他の3人は雨具を着て出発すると言う。私だけ着ないと言うのも後で単独行動に成りかねないので私も雨具を着て出発する。



 久慈から国道281号に入って平庭高原に向かう。久慈川沿いの道はいつも車が多く無理は出来ないが、それなりに走れる道である。

    葛巻 森のそば屋 到着PM0:30

 山形村の道の駅を過ぎ、平庭高原の登りに差し掛かる。ここは登坂車線が有るためハイスピードなコーナーリングが楽しめる。先頭にはシェルターの手前から右に入る道が有るから、その手前で待っていてくれと指示しておいたが、皆は指示通りそこで停まっていてくれた。

 そこから今回走るのを楽しみにしていた初めての道に右折し少し走ると道は下り始めた。路面はハーフウエット、下った先に部落が見えて来る。ここで考えた。予定ではここから先の道を走りグルッと回って葛巻に行く事にしていたが、路面がウエットで走っても楽しくなさそうだし、ガソリンを予定より早く入れてしまった為残りが少ないくなっている。これから先は初めての道でGSの位置が把握出来ない為ガス欠の危険性が有る事等、諸般の状況を考慮してここは引き返して平庭高原を越え葛巻の森のそば屋に直行するが得策と決断する。



 新しい道の探索は次回の楽しみに取っておく事にして、我々はそこでUターン平庭高原に向かった。平庭高原には国内最大級の白樺の森が在り、国道281号もその中を縫うように走っている。ここは黄線区間ではないが、追い越しは難しく前に車がいても無理な追い越しは禁物なのだが、先頭を走るP氏の状況判断は的確でP氏の成長ぶりを感じさせる。

 一年ぶりの森のそば屋の脇には鮮やかな色のツツジが咲いていて、思わずシャッターを押してしまった。秋田市千秋公園のツツジは5月中旬には満開になっていたから、葛巻は秋田市より半月近く季節が遅いのかもしれない。

                                   XLのヘルメットの上にXSへルメット。2つの間には外周7cmの差がある。

 店内に入るとオバサンにFUNKY指定席(予約している訳ではないが、最近は毎年同じテーブル)に案内される。Y嬢はここで雨具を脱いでいる。普通、雨具は外で脱がないか? しかし、濡れてない雨具は普通のパンツと同じ事かと納得する。

 森のそば屋のそばつゆは相変わらずの味で、味に奥行きが無い。山イモが練りこまれたそばの味は独自の味わいを持っているだけに少し残念だが、そばだけでも充分食べて見る価値は有る。

 ざるそば大盛 800円(消費税別)。右に写っているのが普通盛り 700円(税別)。
  雑穀飯(箸の上)が一品サービスされる。     トロロそば 普通盛り 800円(消費税別)
 畳の上では食後横になりたくなるのが人の常。畳に横になっているM氏を見たお店のおばさんは、枕を二つ持って来た。いきなり枕が出てきて驚いてしまったが、今時枕を用意しているお店も珍しい。しかし、用意して有ると言う事は結構需要が有るのかもしれない。

 M氏、自宅で普通に寛いでいるかの様にタバコを吹かす。M氏がまだこの時休煙中であったならば、この至福のひと時は味わえなかった事だろう。

 食事中に屋根に当たる雨音が大きくなってきて外を見ると雨垂れが軒先から落ちている。外に出てまず雨具を着る。Y嬢ブルーシートに囲まれた中に牛(私からは足しか見えなかったが、あの足は子牛と見たが、どうでしょう。)が居るのを目ざとく発見、写真を取りに走る。牛の写真はY嬢のHPに載っている(まだ見ていないので確信はないが。)と思うのでそちらをご覧下さい。

 葛巻のGSでガソリンを給油する。私のTZRは森のそば屋手前で予備に入っていて、ここで11.5Lを給油する。ここのGSには屋根が無く、私は給油中に雨滴がタンク内に入るのが気になって時間を掛けてギリギリまで給油しなった。反対に前回の私の忠告を忠実に守ったY嬢は、ギリギリまで給油したにも拘わらず私より給油量が少なかった。前回ギリギリまで入れなかった事を考えても、私のTZRより確実にY嬢のSPの方が燃費が良い様である。

 これで私のTZRがFUNKYの中で最も航続距離が短いバイクとなってしまった。ましてや私のTZRのタンクは、股間(私のではない。)が当たった衝撃で後端部が凹んでおり、0.5L位は容量が少なくなっているのだ。

 これからどう秋田に帰るかが、森のそば屋で食事をしている時から問題になっていた。予定では八幡平を越える事になっていたが、この状況で八幡平に行くのはいくらマゾッ化が有るFUNKYとはいえ自殺行為である事は明らかであった。

 そうなれば仙岩トンネルを行くか、安代から鹿角に抜けるかの二者択一となるのだが、仙岩トンネルは朝通ったし走っても楽しくないし温泉も少ないし、結局安代回りには決めたのだが。しかしどこを回って安代に行き、安代から先をどう行くかが決まらないまま葛巻を出発してしまった。皆の会話の中では安比から安代コースとか、昨年入った秋田県比内町の大葛温泉がイイとか色々な提案がなされていたが、走りながら考える事として国道281号を沼宮内に向かう。


 葛巻を出ると雨が本降りなってきた。こうなればこれから先の興味は温泉である。 温 泉 ? ここで先ほど話に出た大葛温泉が私の頭の中で次第に大きくなっていく。  大葛温泉・・・大葛温泉・・・決めた!大葛温泉行くゥ・・・


 行き先は決まった。後は大葛にどう行くかだ。国道281号から国道4号の一戸(野田で食べたアイスクリームの故郷)に出る道が有った事を思い出す。以前に一度だけ反対方向から走った事があって道は確か全舗装であった筈。一戸から国道4号を北上し二戸から安代に行けば最短とその時は思った。

 しかし、安代の手前にある七時雨からの道を見た時、それは間違いであった事に気付く。最短ルートは国道281号をそのまま沼宮内まで走り、そこから七時雨高原に出て安代に行くのが最短であったのだ。これを後の祭りと言う。しかし、そのルートでは七時雨での霧中走行を覚悟しなければならなかったであろう。

 国道281号から一戸に向かうと雨の他に風も強くなってきた。明らかに台風崩れの温帯低気圧の影響と思われる。車で混雑する4号に出て二戸で安代方面に左折する。以前通った時と違って立派なバイパスが浄法寺手前まで出来おり、雨の中をハイペースで走行する事が出来て思ったより早く安代に到着する。

 皆さん雨中走行でお疲れさんかなと思い、これから向かう鹿角市花輪とは反対方向にあったローソンにわざわざ停車して休憩を取ってもらおうとしたら、皆さん休む時間が勿体ないと休まず直ぐに出発すると言う。どうも雨中走行でお疲れさんだったのは私だけだった様で、皆さんの頭の中には温泉の二文字しかなかった様である。

 しかし、ローソンで止まる時まで皆さんは私が大葛温泉に向かっている事など知らなかった訳で、281号から一戸方向へ曲がった時はさぞかし驚かれた事でしょう。以後、思いつきで行く先を決めるのは慎みます。猿の様に反省!

 花輪に出て、今度は大葛・太平湖方面に曲がろうとウインカーを左に揚げる。揚げる。揚げるゥ・・・。揚がらない。ウインカーが点燈しない。前後とも点燈しない。何回やっても駄目な物は駄目。以後、左折は手信号となってしまっ
た。

 鹿角市と比内町の境にある金山黒沢トンネルで工事が行われていて、片側交互通行になっていた。トンネルの入口手前に信号があって赤信号が灯っていた。信号が変わった直後なのだろうか、信号のデジタル表示は5分を切ったところからカウントダウンが始っている。

 5分の信号待ちはもしかしたら初めてかもしれないなどと考えていたら、ヤッパリ5分は長い。雨に打たれながら5分間を過ごし、4,3,2,1、青となってトンネルの中に入る。車の人は関係無いかもしれなけど、停止線をトンネルの中に設けてもらうとライダーは雨の日大変助かるのだが。

 トンネルを抜けると大葛温泉はもう直ぐである。すると以前道が狭かった所に立派なバイパスが出現、そのままバイパスに入ってしまった。旧道に温泉が有るのではと不安になり旧道に視線を送るが木が邪魔になって良く見えない。

 こうなれば行く所まで行く、と覚悟を決めたらバイパスが終わって旧道に戻ってしまった。少し走ると見覚えの有る建物が見えて来た。大葛温泉到着 PM3:40。
















雨具を脱いで外に置き中に入る。発券機に100円を投入して券を買い、横の窓口のおじさんに渡してお風呂に行く。ここの温泉は地元の人達が運営している共同風呂なので入浴料が安く設定されている。しかし、私がここの温泉が好きなところは入浴料が安いところではなく、お風呂場の雰囲気と言うか、入っている人達と言うか、時間がユッタリと流れている雰囲気が好き。有名な温泉場には無い暖かい雰囲気がここには有る。

 雨に打たれて冷えた体を温泉に沈めてゆっくりと温める。ここの温泉はそんな時に丁度良い湯加減で、熱くもなく温くもない。入浴料100円だから当然石鹸もシャンプーも備わっていない。しかし、P氏に抜かりは無い。石鹸もシャンプーもタオルも彼のウエストバッグの中からドラエモンのポケットの様に飛び出してくる。



 温泉から上がって地元の人に質問される。こんな時、必ず気さくなオジサンが1人はいる。
  どこから来たの?       秋田市から来ました。
  どこに行って来たの?    岩手県の久慈まで行ってきました。
  どこに泊まったの?      日帰りです。
  ・・・・・・・・・・・・・?
 オジサンは状況が良く理解できていない様子であったが、
  日帰りで・・・・?
 そしてオジサンは言った。
「通りすがりの人からは料金いっぱいもらわねばな。アハァハァ・・・。」


 風呂から上がって玄関横のベンチの所に行くと、Y嬢はそこにいた。女性は長風呂と言うがY嬢には当て嵌らない様である。いつも我々より先に上がってそこにいる。

 Y嬢、今日初めて履いたゴアソックスが土踏まずにシワになると気になる御様子。履き方が悪いとゴアソックスにウルサイM氏(FUNKYでゴアソックスを初めて履いた男)Y嬢に履き方を伝授する。ゴアソックスは全体的には伸縮しないので、踵に弛みが出来ない様しっかり上まで上げるのがコツの様である。自分が買ったゴアソックスと新しい物とは仕様が変わって履き易くなっている事にM氏はショックを受けた様であった。世の中の物は、パソコンの様にドンドン旧型になってゆくのさ。

 しかし、何でM氏が片足で立っているの?足を上げなくても説明は出来ると思うが。赤ちゃんに「アァーン」と言って自分も口を開けてるパターンか?



 皆が旨そうにタバコを吸っているので、一本頂いて数年ぶりに吸って見る。現代のタバコは0.何mgとか言って私の知っているタバコの味では無く、タバコの味も時代と共に変わっている事を知る。ショートホープと言う、毒の様なタバコを吸う人間は現代にはもういないのだろうか。

 外に出てみると雨は上がっており、ここで降っていないなら秋田方面の路面は乾いている筈と読んで全員雨具を着ないで出発する。私はグローブもスペアーの乾いた物に変えて気分を一新、一気に秋田を目指す。




 予想通り比内町で国道285号に出た辺りから路面はドライになり徐々にペースが上がる。そして点燈しかなかったTZR左のウインカーも何時しか点く様になっていた。点かなかったのは雨がウインカーのスイッチに入ったのが原因と考えられる。後で点検する必要がありそうだ。

 前回、閉店時間に間に合わなかった道の駅五城目にはPM6:00前には到着したが、今日は気温が低く木苺ソフトを食べる気にはなれずそのまま通過し広域農道に入る。

 ここまで来れば着いたも同然。一段とペースが上がってPM6:20秋田に帰って来た。今日の走行距離は564km。八幡平に行かなかった分、予定より少し短かくなってしまった。

 暫しの談笑の後解散となったが、Y嬢は次の日 YAMAHA TZM50R(黄色ナンバー仕様)に乗って東京まで走るという暴挙にでて、走行距離約600km、走行時間15時間半で完走したと言う。Y嬢は2日間で1、200km弱走った計算になる。勿論高速は無し。私にはとても出来ない芸当である。詳しくはY嬢のHPでご覧下さい。

 今日のツーリングは雨にも降られたが、それはそれで印象の残るものがあり又ドライ路面も有って楽しく走る事が出来た。1年の内一回位はこんなツーリングが有っても良いとは思うが、今後は是非一日中ドライ路面でお願いしたいものだ。

                                             
お わ り

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