今年2回目のツーリングは、新メンバーとの二人旅 !!

      津軽の春と旬の食べ物、

               そして道と温泉を堪能してきました。




    < コース >

    秋田⇒大潟村⇒能代⇒八森⇒深浦⇒鯵ヶ沢生干しイカ

     車力村⇒十三湖⇒小泊⇒
竜泊ライン三厩⇒大平⇒

     やまなみライン 往復
⇒大平⇒蟹田 カニ・しろうお・(昼食)

     油川⇒
津軽あすなろライン⇒五所川原⇒浪岡⇒黒石⇒大鰐⇒

     ⇒
古遠部温泉 (入浴)坂梨峠⇒小坂⇒毛馬内⇒比内⇒

     米内沢⇒上小阿仁 道の駅 夕食 ⇒五城目⇒農免道路⇒

    下新城⇒添川⇒
モト ワークス ヒラタ 走行距離 570km




















FUNKY初登場のパイロットパワー 
形状はパイロットスポーツより端が回り込んでいてバンク角の変更が軽くなったのではないだろうか。Y氏の感想では、前に履いていたパイロット スポーツより曲り易くなったと言う。
 1,雨を覚悟したのだが・・・

今回の FUNKY 2nd.Touring の参加者はいつものメンバーの都合が悪く、参加の結論を持ち越した一人を除き、今年から参加のメンバー2人と私の合計3名で行く予定である。

今回の行き先は、5月恒例の青森県津軽半島竜飛埼である。いつもの竜泊ライン、やまなみラインに加えて、私がインターネット地図で見つけたワインディングが続くあすなろラインも楽しみであった。温泉は坂梨峠の青森県側に位置する古遠部温泉、ガイドによると結構ワイルドな温泉らしく楽しみである。

前日土曜日の天気予報では、青森県方面は降水確率50%の雨の予報が出ていた。この5月の竜飛埼ツーリングは、カッパを着る事が多く雨の予想にも私は驚きはしなかった

二十数年間の竜飛崎ツーリングの内、一日中雨というのは数回しか無く何処かでドライ路面とご対面できるとの思いで私は就寝する。寝る前に外を見ると雨は降っていなかった。

5時前には目が覚めた私は、カーテンを上げて外を見る。路面に一部ウエットの部分が見えたが雨は降っていなかった。軽く朝食を取ってから軽トラに乗り店に着いたのは5時半前、着替えて出発の支度をしていると低音の図太いエキゾーストノートが聞えてきた。


< フロント タイヤ>パイロット スポーツよりはパターン形状からくる段減りは少なそうである。形状からしてリヤ同様にバンク時の安定感よりバンク角の変更が軽く出来るような方向になったと考えられる。
 2,今日は二人旅

今日がFUNKYツーリング初参加のY氏が隼と共やって来たようだ。後に聞いた話では、昨晩彼は寝付かれないまま午前3時になってしまい、ここで眠っては起きられなくなるとそのままズッーと起きていたようだ。結局一睡もしないまま朝を迎えたY氏は、早めに家を出てやって来たようだ。

参加がペンディングになっていた一名は掲示板で不参加表明をしており、我々は準備を整えてもう一人の参加予定者が来るのを待っていた。その時、突然電話が鳴った。それは参加予定者からの電話であった。彼の話によると昨晩からの体調不良で今日の参加を見合わせたいとの連絡であった。

その結果、今日のツーリング参加者は、初参加のY氏と私の二人となった。二人でのツーリングも久しぶりであったが、Y氏が初参加ということで私はY氏のイントラ役をする予定にしていたので、これで彼のイントラ役に集中出来そうである。

インターネットの気象レーダー画像を見ると秋田市の南まで雨雲が迫っていたが、これから向かう青森県には雨雲は写っておらず少しは安心する。しかし、途中でカッパを着るのも面倒なので、雨具を着て出発する事にする。Y氏は既に雨具を着ていたが、ブーツは普通のブーツでブーツカバーも持っていないと言う。

今は雨は降っていないが、前線は徐々に北上中であり帰りに雨に当るのは必至と思われる。雨でブーツの中がグチョグチョになるのはえらく気持が悪いものなので、私のゴアテックスフィルム入りのブーツをY氏に貸す事にする。これで彼の防水対策はグローブを除き万全となった。

スリップサインの出たピレリ ドラゴンHR。
前に履いていたRENNSPORTとの違いは歴然としていた。
HRは立ちが強くバンク角が安定しない。
あらためてRENNSPORTタイヤの良さを再確認した。
3,秋田発 AM6:00

出発時間の6時になって秋田を発ち、先ずは八森に向かう。八郎潟町から大潟村に入り堤防沿いの道を走る。今日はいつもの年よりバス釣りの人影も路駐の車も少ないようだ。昨年八郎潟でのバスのリリースが禁止されたのが影響しているのだろうか。この道を走る私としては、注意する物がが少なくなって走り易かった。

路面は一部濡れている所は有るが、殆んどがドライでそれなりのスピードで走る。Y氏はこの真っ直ぐな道を走るのは初めてであったようで驚いていたが、この道は路駐の車が有ったり農作業の車両が横道から飛び出して来る事が多いので、十分注意して走るようにアドバイスしておいた。

国道7号に戻って走って行くと、ホンダのFTRに追いついた。このバイクのナンバープレートは水平に取り付けられていて後から見てもナンバーを読み取る事は出来ない。追い越す時ナンバーを上から覗き込んだら青森ナンバーのようであった。

時々こんな水平ナンバープレートのバイクを見掛ける時があるが、、このライダー達はナンバーを見られてはいけない行動を取る事を前提に走っているのだろうか? 私には水平ナンバープレートで走るライダー達の気持は、理解できない。

能代市に入りバイパスに左折するが、私はここを通る時いつも考える事がある。バイパスに入らず直進(旧国道7号)すれば真っ直ぐ国道101号に入れるのだが、ついつい左折してしまう。直進した方が距離が短いのだが、時間的にはどちらが早いのか知りたいところだ。

八森のいつも展望台にて。
雨は降っていない。
4,八森着AM7:15

八森のいつもの展望台に着いたのが7時15分であった。休憩とトイレタイムを取る。私は北の空が明るいのを見てここでカッパを脱ぐことにする。雨具はどうしてもバタついてストレスが溜まり精神的に良くないのだ。

休憩の後、鯵ヶ沢に在る由利商店さんの生干しイカを目指して国道101号を北上する。この辺は昨晩雨が降った模様で、道路の端が濡れている。しかし、道路の大部分は乾いていて普通に走れる

国道101号の左手に広がる今日の日本海は、海岸線の奇岩に打ち寄せる波も無く、曇った空を写し灰色で滑らかな水面が水平線まで続いている。岩館を過ぎ青森県に入り十二湖、岩崎村、深浦を通過する。千畳敷を過ぎ鯵ヶ沢が近くなると路面は完全なドライで、この辺は昨晩雨が降らなかったようである。

我々は鯵ヶ沢のバイパスには入らず、手前から旧道に入り少し走って多くのイカ屋さんが並ぶ中から、NHK全国放送の店の看板を掲げる由利商店前にバイクを止めた。

鯵ヶ沢のいつもの由利商店さん。


  お姉さんは相変わらず元気であった。


ガスで焼いてはいい味はでない?


出来上がり。1枚250円


最初は1枚食べられるか心配していたY氏であったが結局完食してしまった。
5,今年の鯵ヶ沢 由利商店 8時半過ぎ着 

店に行くとお姉さんが
「いらっしゃい。久しぶりですね。」と声を掛けてくれる。
「一年ぶりですよ。」
「今日はお客さんが少ないです。」と私が答えるとお姉さんは笑っていた。

私がイカを二枚注文すると、
Y氏 「一枚全部食べられるかな?」 と心配する。
すると「食べ切れなかったら、持ち帰れるようにして上げる。」とお姉さんが言ってくれた。
確かにここのイカ一枚は、食べ応えがある。

一枚全部食べ切れるか心配だったY氏であったが、食べてみると早食いの私より早く完食してしまっていた。
それを見て 「全部食べちゃったの?」
と持ち帰り用のパックを用意していたお姉さんは少し驚いていた。
Y氏、生干しイカが美味しかったようで、ついつい完食してしまったようだ。

お姉さんの口から気になる情報が我々にもたらされた。
「今日は九時頃から雨の予報ですよ。だけど雨降り山に雲が掛かってないからまだ降らないかも知れないけど?」
と外を見て言う。

ここから南側に見える雨降り山と呼ばれる山に雲が掛かると、1時間以内に雨が降リ出すという言い伝えが有るそうだ。漁師さん達が天気を予想する時の言い伝えのようである。確かにお姉さんに教えてもらった山には、雲は掛かっていなかった。

「そういえは、いらっしゃる時はいつもカッパを着てますよね。」とお姉さんに痛いところを突かれてしまった。

確かに私もここに来た時カッパを着ていた記憶が多いく、お姉さんがそう思ったのも無理は無い。
< FUNKY = 雨 >
という等式が、お姉さんの頭の中には出来上がっているようである。
今年はお母さんの姿が見えないようだ。現在お店はお姉さんに任されているのかもしれない。しかしお母さんの代わりに一人の男性が奥から出て来て、お姉さんと会話を交わした後、店の外の掃除を始めた。その漁師さんらしき風貌の男性は、年齢からしてお姉さんの旦那さんと私は見たが、どうでしょう?



6,雨はまだ降らない

美味しいイカを食してお腹が膨れた我々は、雨降り山に雲が掛からない事を願いつつ、車力村のGSに向かって走り出す。車力に向かう農免道路は横道が多く横からの飛び出しや前車の右折に注意が必要なのだが、今年はいつもの年より車が少なく走り易い。

農免道路から車力のGSに向かうため右折するのだが、「そろそろ右折の交差点だな。」と考えていたら、前を走っていた車が右折したのを見て私もつられて右折してしまった。

すると周りの景色がいつもと違う事に気が付いた。しかしこのまま行っても出る道は同じと考えそのまま進む。案の定、私が予想した通りの道に出てそこを左折、そのまま進んで行くといつものJAスタンドが見えて来た。




車力のいつもの農協GS。
今日はおじさん一人でおばさんは居なかった。
7,今年の車力村 JAスタンド

スタンドに入って行くといつもの年配のおじさんが出て来た。レギュラー満タンをオーダーする。秋田からここまで200kmチョットで、TZRは12.08リットルのガソリンを呑みこんだ。平均燃費は約16.9km/Lとマーマーの燃費である。因みに隼は15リットルチョットの高級ガソリン(ハイオク)が入り、平均燃費13km/L台であった。やはりアレだけの重量のバイクを動かすには、多くの餌を与えないといけないようである。

ここでY氏から隼には面白い装置が付いている事を教えられる。以前に隼の取説で読んだ事があったような気がするが、ここまで走った平均燃費を瞬時に出せる装置である。インジェクターで吹いたガソリンの量と走行距離から算出する優れものであるようで、近い将来ガソリンの領収書を見ながら電卓を叩く姿はもう見られなくなるかもしれない。

給油の後、事務所のソファーに座ってこれから先のコースを検討する。現在の時間は10時を回ったところだが、昼食を蟹田で食べる事は決めていた。予定では竜飛埼を回って三厩から蟹田に行く予定にしていたが、雨の竜泊ラインは走りたくないし、行っても意味が無い。

おじさんの話によると、この辺は夜中に一雨が降ったようだが、現在は曇り空で風も無く直ぐに天候が変わるとは思えない。


8,これから何処へ行く

GSのおじさんに、ここ車力から蟹田まで行く道を尋ねると丁寧に教えてくれた。道が良くなったので1時間も掛からない行くだろうと言う。このまま蟹田に向かっては11時前には着いてしまう。それでは早過ぎる。

Y氏に竜飛埼に行った事があるかと聞いてみると、車で一回行った事が有ると言う。竜泊ラインを通った事があるかと聞いてみると、よく分からないが曲りくねった道に隣に乗っていた人が気持が悪くなったのを覚えていると言う。そういう事なら竜泊ラインを通った事はありそうだ。

竜飛までどれくらい時間が掛かるかおじさんに聞いてみると、車だと1時間15分から20分で行くが、バイクだったら1時間位で行くと思うと言う。何故バイクが車より速く行けるか聞いてみたが、その根拠はおじさんにも定かではなかった。おじさんの中では、バイクは車より速く走る機械だというお考えがあるようなので、私は車だって速く走れば早く着く事を説明しておいた。

ここまで来て竜泊ラインを走らないで帰るのも勿体ないので、竜泊ラインは走るが、竜飛埼には寄らずに蟹田に向かう事にする。おじさんも空を見上げるように曲がるヘアーピンカーブを走って来たほうがよいと勧めてくれる。


9,人間パワーに感動

車力のGSを発ち十三湖から小泊に向かうとテールゲートを上げた軽ワンボックスに追い着いた。軽の後ろには自転車(タイヤの細いロードレーサー)がピッタリと着いて走っており、彼はコンスタントに60km/h前後のスピードで走っている。

軽の陰になって空気抵抗は殆んど受けないとはいえ、60キロのスピードで走り続ける人間のパワーにはある種の感動を覚えてしまった。

対向車が有ったり、カーブが有ったりして、暫くその後ろに着いて走っていたが、走り続ける彼の背中には必死さが滲み出ていて、トレーニングの厳しさが感じられた。

眺瞰台で休憩。


眺瞰台からの展望。
道路が描く曲線は、ライダーの心を擽る。

10,竜泊ラインを走る

小泊を過ぎて道は海岸線沿いのワインディングになると、隼のスピードが上がらずTZRとの間隔が開いて来る。私はミラーで間隔を測りながらスピードをコントロールしながら走り、そのまま竜泊ラインに入り眺瞰台を目指す。

海岸線はドライでも山の上の方で霧が出ている事がある場所なので路面が濡れていないか心配していたが、全線ドライコンデションで霧も無くて楽しく走る事が出来た。走っている車も少なく名物ヘアーピンを楽しみながら眺瞰台に到着、休憩にする。

眺瞰台からは今走って来た道が一望され、道が描く緩やかな曲線にライダーは見とれてしまうのであった。休憩後、今度は竜飛埼に向かって下って行く。この道をこの方向に走る時、無理は禁物である。下りでスピードが乗ったところで急カーブみたいな所が沢山待ち受けている。

竜飛崎の手前(風力発電の風車が在る所)から三厩駅に出る道に入る。この道を隼で走るの辛そうであったが、Y氏は頑張って着いて来ている。三厩から今別、大平と走ってやまなみラインに向かう。

11,本日のメインデッシュ やまなみライン

今日のハイライトとも言えるやまなみラインは、本州では珍しい高速コーナーの道で、我々はいつもここを往復して楽しむのだ。私はここが隼に一番ふさわしい道と考え、TZRとしては目一杯のスピードで隼を引っ張った。

後でY氏にやまなみラインの感想を聞いてみたら、高速コーナー途中のうねりで最初はアクセルを戻していたが、アクセルを開けて行く事によりバイクが安定する事を発見し、それからは高速コーナーを楽しむ事が出来る様になったと言う。

Y氏、高速コーナーに於けるマシンホールドの仕方、アクセルの開け方等を少し勉強した様である。少しづつ体験してそのノウハウを蓄積していく事がバイクを安全に楽しむ道なのだ。

蟹田川のしろうお漁。


季節限定営業のかにた川。


 Y氏、カニ汁にチャレンジ。
12,蟹田町 かにた川

やまなみラインを充分楽しんだ12時少し前、我々は蟹田のかにた川の前にバイクを停める。今日のかにた川は車が少なく建物の前にバイクを停めることができた。中に入って見るとテーブルも空いており、直ぐに座る事が出来たのである。こんなに空いているかにた川は初めてである。

時間は昼飯時なのだが、鯵ヶ沢で食べたイカの腹持ちが良く二人共あまり腹は空いていなかった為、蟹田名物のしろうおの踊りカニ汁を注文する事にする。

暫くして、うら若きお嬢さんが先ずしろうおの踊りを持って来た。茶碗蒸のような蓋の付いた器の蓋を取ってみると、器の中でしろうおうごめいていた。付いてきたウズラの卵を入れるとその動きはより活発になり、それに醤油を垂らしたら器から飛び出さんばかりに暴れ出す。醤油の中の塩分がしろうおを刺激するようだ。


しろうおのおどり(踊り) 600円。 ウズラの卵を入れると動きが活発になり、醤油を入れると更に動きはヒートアップする。



しろうおの踊り
は卵を入れようが、醤油を垂らそうが、味的には美味しいと感じる物ではない。踊りは、口の中でうごめくしろうおの動きを楽しみ、そのコリコリ?プチプチ?とした歯応えを楽しむ極めて残酷な食べ物なのである。しかしこの感触は しろうおの踊りでしか味わえない物で、結構病みつきになる。

彼?はまだ生きている。



次に運ばれて来たのは、昨年M氏が食していたカニ汁である。昨年私はM氏が美味しそうに飲むカニ汁を見て、来年はカニ汁と決めていた。カニ汁は身が少ないトゲグリガニの身を食べるのではなく、カニの旨味を出汁として汁に引き出しており、トゲグリガニに適した料理法だと私は思う。

       カニ汁 600円。           しろうおの踊り、カニ汁を二人共に完食。

今回は蟹田でこの時期しか食べられない食材を食べる事が出来て、私は満足してかにた川を出たのだが、Y氏がどう思ったかを聞くのを忘れてしまった。

ここからは、私が地図で見付けたワインディングロード津軽あすなろラインに向かう。蟹田から青森に向かう国道280号のバイパスは昨年より大分蟹田側に伸びていて、海岸線を少し走り蓮田に入って直ぐに踏み切りを渡りバイパスに入った。
13,初めての 津軽あすなろラインとは?

青森市に入り油川の信号で五所川原への道路標示を見付け信号を右折する。この五所川原に抜ける道は、地図によると結構広そうなワイディングであすなろラインという名称が付けられていた。信号を曲がって少し道に迷ったが、Uターンして正しい道に入る。

私が地図から読み取ったこの道の情報によれば、最初は狭い道路も次第に広くなり面白そうなワインディングが現れる筈であった。しかし私の予想にに反しそれらしい道がなかなか現れてこない。青森市から一旦金木町には入り五所川原に抜けるのだが、五所川原に入り道が下りになっても狭く曲りくねった山道は続いていた。

私の読みが完全に外れた事がハッキリしたが、新しい道を行く時は予想が外れる事は多々ある事。まぁ、こんな道でも結構楽しめるので少しペースを上げてみたら、コーナーの突っ込みでリヤタイヤが滑り冷っとする。

今回私のTZRは、今までのRENNSPORTに換えて以前履いていたピレリのドラゴンHRを履いていた。これはRENNSPORTのリヤタイヤが日本に在庫が無く入荷待ちであった為、今回まだ少し溝が残っていたドラゴンを履いて来たのだ。

しかしこのタイヤが曲者だった。RENNSPORTを履く前は結構良いタイヤだと思っていたドラゴンHRであったが、RENNSPORTと比べるとコーナでの立ちが強くバンク角が安定しないしグリップも良くない。こんなこまいコーナーでは切り返しが大変で疲れてしまった。
14,Y氏にとっては怪我の功名?

ふとミラーを覗いて見ると、隼が私の直ぐ後で走っていた。こっちのペースも上がってはいなかったが、隼とY氏はここまでより数段上のスピードで大きな車体を左右に振りながら走っている。

後でY氏に聞いたところによると、彼は関東でこのような狭く路面状態の悪い道を多く走っていたそうで、あすなろラインは彼にとってはホームグランド的な得意分野の道路であったようだ。何が幸いするか分からないものだ?


15,津軽平野を迷走

あすなろラインが面白い道だったら往復する予定にしていたが、とても来た道を戻る気にはなれず、そのまま五所川原から浪岡に向かう。以前ここを通った時も迷った経験がある私だが、今回も迷ったと言う程では無いがあちこち走り回ってしまった。

私は周りの山から自分の今いる場所を知り向かう方向を決めて行くのだが、今日は津軽平野のランドマーク岩木山が雲に隠れていて、自分の位置が良く摘めなかった。津軽平野をジグザクに走り何とか浪岡の国道7号に出て、黒石に向かう。

黒石から大鰐の国道7号に出たところで給油する。車力で給油してから200kmチョット走り12.03リットルのガソリンが入った。燃費は前回と同じ16.9km/L、今日は走る場所による燃費変動が少ない珍しいパターンである。Y氏も前回同様15リットルのガソリンが入ったようだ。


18,楽しみな古遠部温泉へ

ここまで雨には当らずに来れた我々だったが、秋田方向の山を見ると上部は厚い雲に覆われていて確実に向こうは雨が降っていそうである。GSで休憩を取りながらこれから先の予定を検討する。予定では碇ヶ関から坂梨峠に向かい、峠手前の脇道に入った所に在る古遠部温泉に寄って、坂梨峠を越え小坂を経由し秋田に帰る事になっていた。

この予定で問題になるのは温泉までの道と坂梨峠であった。情報によると古遠部温泉までの道は、長く(1km弱)はないが砂利道のようで雨でぬかるんだ砂利道は出来れば走りたくない。特に隼に乗るY氏はその思いは強い筈だ。

そして雨の坂梨峠は走って楽しくも無く疲れるだけと思われ、出来れば雨の時は走りたくない峠である。予定を変更するとすれば、国道7号をそのまま南下し矢立峠を越え、矢立温泉か日景温泉に入って秋田に帰るコースが考えられる。

色々考えたが古遠部温泉の魅力には勝てず、予定通りに行くことにする。何れにしても雨の中を走る事になるのは必至で、悔いが残らないように予定通りに行くと決めた。

GSを発って7号線を南下、碇ヶ関から国道282号に入り古遠部温泉を目指す。頭上に高速が坂梨トンネルの中に入る赤い高架橋が見えたら、橋の手前(左側の法面に看板が出ている。)から左に入る。ここからが砂利道である。

ここまで霧雨は降っていたが、路面はまだ濡れてはいなかった。砂利道は簡易舗装をした跡が有り、路面は大分痛んではいたが思ったより走り易く、考えていたより早く古遠部温泉に到着した。

古遠部温泉に到着。
谷間に在るコジンマリとした一軒宿で、
心がこもった食事も評判らしい。



建物は温泉からの析出物の上に建っていた。
北海道の二股ラジウム温泉に似ている。



男湯の内部。
浴場はそんなに広くはないが、お湯の量が豊富で
湯船から溢れ出たお湯が浴場の床全体を流れている。
床は北海道の幌加温泉のように析出物で覆われている。
しかし表面は滑らかで、歩いても足の裏は痛くはない。



温泉から上がってスッキリした表情のY氏。




これから向かう秋田県側は雨が確実と思われる。カッパきて準備万端。
19,こんなに不味い温泉は初めて 黒鉱の味?

古遠部温泉は山間の沢沿いに建つ鄙びた温泉で、建物が温泉の析出物の上に建っていた。玄関は最近新しくしたようだが、看板は年季が入っている。


   玄関は新しいが看板は年季がが入っている。     この呼び鈴がまた大きな音を立てる。

中に入ると事務室と書かれた窓に入浴料260円と書かれてあり、そして御用の方は鈴を鳴らせとも書いてあった。我々は各自260円を用意して、Y氏が「鳴らしますよ。」と言って鈴を手に取り軽く振る。

「チィーーーンー
」 小さな割には大きな音が鳴って我々を驚かせた。窓を開けてご主人らしき男性が顔を出し、我々は260円を払い階段を下って温泉に行く。

浴場は広くはなく十人も入れば満員御礼の垂幕が出そうである。ここの温泉の特徴は温泉の湯量で、1分間で800L(ドラム缶4本分)の湧出量だそうで湯口からは小川のようにお湯が流れ出ていた。そして湯船から溢れ出たお湯は、床を流れ音をたてて排水溝に流れ込んでいる。

お湯は無色では無いが透明で、鉄分が含まれているのか微かに茶色っぽい感じがする。独特の臭いがしてどこかで嗅いだ気がするのだが、なかなか思い出せない。

ガソリンタンクの錆びた時の臭いと言うか、錆びた水道管から出てきた水の臭いと言うか、いずれにしても金属類系(Fe、Al、Zn等)の臭いだと思う。

温泉が流れ出ている横に茶碗が置いてあったので温泉を飲んでみる。これがまた何とも表現できない味で、一言で言えば「不味い!凄く不味い!」飲むと言うよりは嘗めただけで茶碗の温泉は捨ててしまった。

これは多分、温泉に含まれる金属成分や硫酸、塩素、ヒドロひ酸、ヒドロ炭酸などが醸し出す絶妙な味覚なのだと思う。

ここ古遠部温泉と同じ古遠部の名を持つ鉱山が坂梨峠を越えた秋田県側に有る。国道の川を挟んだ向かいに建つその古遠部鉱山(閉山)からは、古遠部鉱と呼ばれる黒鉱(多種の金属が含まれる。)が採れていたというから、この温泉にも多くの金属成分が含まれていたとしても不思議ではない。

また、この温泉はカルシウムやナトリウムの析出物が多いようで、湯船の縁や床に析出物が堆積している。しかし北海道の幌加温泉とは違って表面は滑らかで、歩いても寝そべっても痛くはなかった。この建物自体が析出物のドームの上に建っていて、いかに析出物が多いかが分かる。

同様のドームは北海道の二股ラジウム温泉にも見ることができる。二股ラジウム温泉にも入ったことがあるが、温泉の色や臭いなどこことは別物であったと記憶している。

Y氏と温泉に入りながらバイクの話に花が咲く。Y氏は7年のバイク歴を持ち、北海道も2回訪れていると言う。道理で追越などの判断がしっかりしていると思った。お湯の流れる床に腰を下ろして話し込んでいたら、体を洗う人に場所を開けてくれるように言われてしまった。それ程に居心地の良い温泉が流れる床であった。

温泉から上がって革パンツを穿いていたら、横にいた男性が「これはどうなっているの?」と革パンツの裏側を見せてくれと言ってきた。私のパンツは普通のメッシュの裏地が付いているだけなのだが、おじさんは普段見ることが無い革パンツに興味津津であった。

入口の所にある休憩場所で体から吹き出る汗が収まるのを待つ。まずアイス最中で体を冷やし、ポカリスエットで出た汗の水分を補給する。Y氏も温泉に入ってリフレッシュ、爽やかな表情を見せる。暫くして汗も収まり出発の支度をする。

外に出てみると、霧雨は降っていたがまだハッキリとした雨粒は落ちていなかった。しかし、ここから秋田までは150km以上の距離が有り、その殆んどが雨中走行になると考えられるので、私はグローブをレイングローブに替える。

上小阿仁の道の駅に止まる2台。
外はシトシトと雨が降っている。


雨でメットも綺麗になった?
20,秋田県は雨・雨・雨・・・

4時30分、雨対策を万全にした我々は古遠部温泉を出発、砂利道を走って国道282号に戻ると、来る時はドライだった路面が完全なウエットに変わっていた。国道に出た辺りから坂梨峠の本格的な登りが始る。

晴れていればここから走りがヒートアップ、次々に現われるコーナーがライダーの心を熱くするのだが、今日はハッキリ言ってコーナーが辛い。次々に現われるコーナーをこなすのが精一杯で楽しくも何ともない。

しかし、履いているタイヤがRENNSPORTのNEWタイヤだったら、この雨の坂梨峠の印象が変わっていたかもしれない。昨年の北海道で、雨中走行のポテンシャルの高さをみせてくれたRENNSPORTタイヤだったら、今日の坂梨峠でも充分楽しめたかもしれない。

スリップサインの出たドラゴンHRでは、私は怖くてアクセルを開けられなったが、私の後を走っていた隼はもっと大変だったろう。あの重さ、あのパワーで、雨の坂梨峠を私は走りたくない。

私は時々ミラーで隼のライトを確認しながら、スピードをコントロールして峠を越え秋田県に入る。県境を越えると雨は強くなって本格的に降って来た。そのまま小坂、毛馬内、比内と走り国道285号に入る。


21,しろうお と カニ汁 だけでは腹が減る

そして米内沢から上小阿仁の道の駅まで一気に走った。上小阿仁到着 6時。 今日はカレー屋さんとおそば屋さんが開いていた。

雨具の上を脱いで中に入り夕食にする。昼にしろうおカニ汁しか食べていなかった我々はお腹を空かしていたのだ。

今日、米を食べていなかったとY氏は、カレーをオーダー。私は天婦羅そばをオーダーする。Y氏の食べたカレーは、味、量ともにY氏を満足させてようで、食後美味しそうにタバコを吸っていた。

お腹が満たされ我々は6時半前に道の駅を発って秋田に向かう。




日本人は米を食わなくてはとカレーを注文したY氏、本日初めて御飯を食する。


久しぶりの下道570km走行にも元気な表情を見せるY氏と愛車の隼。
22,ブロッケン現象を見る

五城目からいつもの広域農道に入る頃には日も落ちて暗くなっていた。雨の夜道は前が見えづらく神経を使う。こんな時は、車のテールランプを頼りに走るに限る。

秋田市に近づくに従って雨が霧雨に変わり、シールドに水滴がまとわり付く。対向車のヘッドライトや前を走るLEDのストップランプが、水滴に乱反射して目に刺さってくる。

上新城から添川に抜ける山越えで、山に登るに従って霧が出て来て前が見え難くなる。私の後ろからは隼のヘッドライトが私を照らしているのだが、隼のライトの光軸が上にずれているようで、下向きにしているのにも拘わらず私の影を霧の銀幕にしっかり映し出している。それは高い山で稀に見られるブロッケン現象の様であった。

前方には私の黒い影と白い霧しか見えず、私は思わずシールドを開けて走ってしまった。しかし、添川まで下ると霧は晴れ
雨も殆んど上がっていた。幻想的なブロッケン現象を体験してしまった私だが、隼の光軸は早急に調整しなければなるまい。

無事、店に着いたのが7時20分過ぎ、13時間20分で570km走った勘定になる。今日のツーリングは、下手をすると一日中雨の中を走ることを覚悟していたが、青森県内はドライ路面で走る事ができたし、コースも大体予定通りに周る事ができた。

初参加のY氏にも幾つかのスペシャルステージを楽しんでもらう事ができたし、旬の食材も味わってもらう事ができた。初参加のツーリングが一日中雨では洒落にならず、本当に良かった。。

私の場合、津軽あすなろラインが
期待外れに終わったのは残念だったが、幾つかのスペシャルステージをドライ路面で走ることができたし、何より古遠部温泉が良かったので、今日のツーリングは私にとって有意義なものだったと思う。


来月6月は岩手県を予定している。


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