▼台風の影響が思わぬところに・・・
台風の影響なのだろうか、いつもより遅れて乗船となる。FUNKYでは、この埠頭でこれまで幾つかのドラマが生まれていたが、今回もまた一つのドラマが生まれる事になった。
私が最初に乗船タラップを登って行くと乗船した所で係員から停止を命ぜられる。その時私はいつもとは違う何かを感じていた。 「何かが違う?何だ?」 その何かが分からぬまま係員から左側の壁際に行くよう指示された私は、その指示に従いバイクを止めサイドスタンドを出した。
「アレッ!?」 バイクがいつもより大きく傾いて止まった。 「何故だ?」
バイクから降りた私はその理由を探す・・・。 「判ったッ。」 私は甲板に立ってみてその理由を知る。船が傾いていて甲板が入口側に坂になっていたのだ。
今日は台風の影響で風が強く(ヘルメットが飛ばされる程の風)、強風でフェリーが動揺しないよういつもよりフェリーを岸壁に強く引っ張ってい為、船が岸壁側に傾いているようだった。立っている所が傾いているのは結構違和感が有るもので、何が落着かない感じがする。そしてこの船の傾きが、ドラマを生む事になるのである。
私の次に乗船した赤レンジャーは、私同様係員から停止を命じられる。そして私の止めた位置より左側に止めるよう指示を受けたのだが、その指示が曖昧で分かり難く彼はその手前に止まり左脚を着いた・・・筈だった。
しかし、船が左側に傾いていた為甲板がいつもより数センチ遠くにあって、いつものより少しバイクが傾いた状態で脚が甲板に着いてしまった。この傾いた状態のR1を赤レンジャーの足は支える事が出来ずにR1は傾いていく。
横倒し寸前でその傾を止めた赤レンジャーだったが、その状態のR1を引き起こす力は彼には無く、その位置を維持するのが精一杯でそのままフリーズしてしまったのである。
その一部始終を見ていた私は、直ぐに駆け寄りR1を起こそうとしたのだが、私同様その状況を見て慌てて駆け寄ったフェリーの係員の方が私より早く駆けつけ、R1はその係員の手を借りて引き起こされたのであった。
幸いにもR1へのダメージは皆無で事無きを得たのだが、台風の影響が思わぬところに出てしまった事件であった。風が強くなければ船が傾くほど岸壁に縛り付ける事はなかった筈だから、台風が引き起こした事件と言っても過言ではあるまい。
もし赤レンジャーの脚がもう数センチ長ければ、台風も悪者にされる事は無かったのだが・・・。
▼船の揺れも楽しい思い出に
全員無事?乗船した我々は、客室に向かう。今日の秋田行き二等客室は、ロビーの奥右側だったのだが、我々が中年女性が一人しかいなかった客室に場所を確保すると、その女性は我々を見て荷物をまとめて出ていってしまった。
その時彼女が我々にどんな印象を持ったのかは分からないが、結果として我々が彼女を追い出した格好になった訳で彼女には悪い事をしてしまった。我々はそんなに恐い?グループに見えるのだろうか。 もしそうだとしたらその事を自覚して行動しなければとも思うのだが、こればっかりは相手の有る事だから気を付けると言ってもね・・・。
着替えた我々は、売店に行って飲み物を仕入れロビーで乾杯する。ここまで来れば明日の朝、崎の港に着く事はよほどの事が無い限り保証された訳で、台風13号の進路に一喜一憂しながらも無事に北海道を走り切りった我々は、多くの思いでを携えて秋田に帰れる事になったのである。
話が弾んで盛り上がっていると、フェリーの優しい乗務員の方から上の階のカフェラウンジを開放しているという情報を得て場所を移動、そして話は続いた。
カフェラウンジはディナーショーを行なえる程の立派な所で、我々はソファーに座ってお酒を酌み交わしたのだが、「この雰囲気だと隣に女性が居ないと・・・」 等と言い出すメンバーも出る程の良い雰囲気の中、我々は今回の北海道を振り返って楽しい会話が弾む。
出港から数時間経つと船が陸から離れたのか揺れが大きくなってきた。フェリーは台風に近づく方向に進んでいる訳で、これから先揺れは更に大きくなると思われる。そんな中、A氏が何処かに行って戻って来た。彼は船の揺れに合せ右・左・右と通路をジグザグに歩いて来る。それが船の揺れに寄るものなのか、それとも酔いが回ったせいなのかは判断しかねたが、船のローリングが相当なものになってきた事だけは確かだ。
このカフェラウンジは11時までは使えると乗務員の方は言っていたのだが、11時を過ぎても電灯は消される事なく点いていた。11時を少し回ったところで我々の宴も御開きとし、電灯の消された客室に戻り寝る事にする。
揺れる船で寝るのは久しぶりの私だったが、ローリングとピッチングの合成されたベクトルを体で感じながら私は眠りに就く。船の揺れはロッキングチェアーに座ってリラックスする様に眠りに就くのを助け、私は知らぬ間に眠りに就いていた。
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