2009 FUNKY Petit HOKKAIDO TOP 第1・2日目 第3日目 第4・5日目
3日目



















アンビシャスの朝食

●雨の一日の始まり
北海道での朝は早く目覚めるのが私のパターンなのだが、今朝は数日来寝不足が続いてせいか目覚めたのは6時を大きく回っていた。外が静かだったので雨が上がったのではないかと期待しながら私がカーテンを開けると・・・雨はしっかり降っていた?

我々の部屋の天井は屋根そのもので雨音が聞こえてもおかしくはないのだが、三角屋根の場合雨粒が屋根に当たる角度が鋭角で雨粒が弾ずにそのまま流れて雨音がしなかったようだ。

三角屋根の思わぬ効用を知ったアンビシャスの朝は明けたが外は雨が降り続いており、私は今日の予定をどうするかを考えていた。今晩の宿泊場所は大雪山中の幌加温泉で、直線距離にすれば300kmもないが直線的に行ける道は無く走行距離にすると500km近くはある。

しかし少し遠回りして行く予定で550km位は走る事になっていたが、この雨では寄り道している余裕は無く最短時間で行けるよう予定を変更しなければなるまい。結局、霧立峠などのスペシャルステージをキャンセルして宿に向かう事にしたのだが、そうなると今日のお楽しみは増毛のオーマルジュでの昼食だけになってしまいそうである。

オーナーさんから声が掛かって七時半過ぎから朝食が始まる。この手の宿はAM8:00から朝食というところが多いのだが、開始時間が早いのは宿でツアーを行っているせいなのかもしれない。全員一緒の 「いただきます。」 で始まった朝食は 全員一緒の 「ごちそうさまでした。」 で終了する。

食事を終えた我々は出発の準備に取り掛かる。雨が降っている中の出発準備は、バッグを濡らさないよう素早く行う必要があり気を使う。宿に屋根が掛かったバイク置き場が有れば助かるのだが、そんな宿は少ないのが現状だ。

一人が傘を差しながら荷物を積んで何とか出発の準備を終えた我々は、オーナーさんに挨拶した後一晩お世話になったNisekoアンビシャスを出発する。強くはないが雨がシトシトと絶え間なく降る中、我々は元気ハツラツと言う訳にはいかなったが、今宵の宿幌加温泉を目指して走り始める。



増毛到着 PM1:00


オーベルジュ ましけ の外観


雨具を脱ぐ屋根が掛かった場所が有って助かった。


三國清三シェフ(左)と担当シェフ(中・右)


店内からは日本海が見渡せる、























●雨のオロロンライン
倶知安の街に出た我々はガソリンを給油した後、昨年も走った国道393号に入って小樽に向かう。この国道303号は赤井川国道とも呼ばれ、倶知安から赤井川村に出た後キロロの脇を通り毛無山、小樽と走る山道で、車が少なければ結構楽しめる道だ。

倶知安〜赤井川区間は昨年開通した新しい道で、道幅も広く走り易い道なのだが、昨年走った時は開通直後だったのと紅葉の季節で、車が多く車の後ろでズーッと走っていた。

しかし今回訪れてみると車は疎らで走りを楽しめる状況にあったのだが、雨が強く降り始め車に着いて行くのも大変な状況になってきた。樺立トンネル前後の新しい道は、道幅も広くカーブのRも大きくて高速ステージとしては最高のスチエーションなのだが、我々は道路を横断して流れる水流にタイヤを取られない様、慎重に走りを進めるしかなかったのである。

赤井川、キロロ、毛無山と続く道は交通量が多く車の後ろ過ごした我々は、毛無山から下るヘアーピンカーブが連続する道を抜けた後、札樽道朝里ICに出る道に入り朝里で国道5号に出る。

小樽〜札幌間の国道5号はこれまで走って来た道とは違い大都会の様相を呈しており、私みたいな田舎者には車間の取り方や車線の走り方などの感覚が掴めず戸惑ってしまった。土地土地によって走り方のローカルルールみたいなものが有って、それを知らずに走ると結構危ない思いをする事がある。

ましてや今回の場合雨の中での走りなわけで、見なければならない所が沢山あるのに視界も悪く大変だった。田舎者は大都会に近づかないのが一番で、我々は銭函の先で国道5号と別れ国道337号に入り留萌を目指す。

小樽から稚内まで日本海沿いに走る道をオロロンラインと呼ぶそうだが、我々はそのオロロンラインを走って、留萌手前の増毛のレストランで昼食を取る事を楽しみに走り続ける。

倶知安のGSを出て雨の中を2時間近く走り続けた我々は、石狩川河口近くのコンビニで休憩を取る。雨の為か2時間走った割には距離が進んでおらず、私の考えていた予定から30分近く遅れてしまっていた。

これまでも、これから先も今日は一日中雨は止む事は無かったのだが、雨の中での走りでは追い越しもままなずどうしても車のペースで走る事になり時間が掛かってしまうし疲れる。


私の使っているアルパインスターのGORE−TEXフィルム入りグローブ。昨年のアクシデントの経験から、プロテクションのシッカリしたこのグローブを選んだのだが、これも防水は一日は持たない。

この頃になると私のレイングローブは連日の雨でレイングローブでは無くなってただの濡れたグローブになっていたのだが、休憩を終えそのグローブをはめた時のグニュとした感覚は何とも気持ちが悪い。

私もこれまで幾つものレイングローブ使って来たが、一日中の雨に耐えうる防水性能を持ったレイングローブに出会った事は無い。バイクのレイン用具の中で一番遅れているのはレイングローブではなかろうか。シッカリとしたプロテクション性能を持った、10時間以上水が浸入しないレイングローブを是非開発してもらいたいものである。

休憩を終えた我々は、国道231号を厚田、浜益と走って断崖絶壁の海岸が続く雄冬に向かう。私がこの道を走るのは本当に久しぶりで、前回ここを走ったのは少なくても十数年前だったと思う。この道にまだ砂利道区間が残っていた頃から走っているFUNKYだが、雨の中を走ったのは今回が初めてだった。

磯の海辺を走るこの道は、晴れていれば景色が良いツーリングコースなのだが、今日は雨で霧も出て景色も楽しめず、ただひたすら車の後ろを走るだけであった。車の後に着いて走る事に飽きてきた頃、雄冬に到着する。

久しぶりに見るの雄冬は新しい店が出来ていて、以前とは大分様変わりしていた。雄冬まで来れば増毛はもう直ぐそこ(30km位)、お腹も空いてきていた私は昼食に思いを馳せ雨の中を走る。雄冬で前を走っていた大型バスがいなくなり車の流れが少し早くなって、我々はラストスパートに入る。

連休だからなのかどうかは分からないが、今日は我々以外にも多くのライダーが雨に打たれながら走る姿を見た。バイクを止め雨宿りをしているグループもいたが、日帰りツーリングなら中止するツーリングも、連休を利用したお泊りツーリングとなると中止にする訳にいかず、彼らもまた我々同様雨の中を走っていたのだろうと思う。



●オーベルジュ ましけ

我々は今週のワンプレートを頂く事に・・・。
拡 大


スープ
ミニトマトといんげんのコンソメジュレ


パン or ライス 選択
このパンがモチモチしていて美味しかった。


ワンプレート  拡大
サラダ
肉料理 牛肉と野菜のトマト煮
魚料理 白身魚のうにクリームソース


デザート
メロン
仁木?のサクランボ
ハスカップ?のシャーべット
ミニケーキ


絶品コーヒー


PM1:00少し前、我々は無事オーベルジュ ましけに到着した。倶知安のGSを出て一回の休憩を挟んでここ増毛まで、三時間半の雨中走行だった。

我々が朝から脱ぐ事のなかった雨具を脱いていると先ほど雄冬で追い越した大型バスが入って来た。車体にはオーベルジ ましけの文字書かれており、ここでは札幌?からの送迎を行っているようである。

ここには温泉も有るし、美味しい料理を食べて泊まる事も出来る。札幌からなら3時間位で来る事が出来るから、日帰りでも良さそうだ。

その昔(明治から昭和初期)にしん漁で沸いた増毛だが、増毛に生まれ増毛を愛する『三國 清三』シェフが地産地消にこだわり故郷の山海の幸を使ってプロデュースしたのがこのオーベルジュましけだそうで、私はここで昼食を取るのを楽しみにやって来たのだ。

入口の屋根の掛かった所で雨具を脱ぎ(雨の時、屋根が掛かった場所が無いと大変です。)雨具やヘルメットを端に置かせてもらった我々は、レストランに向かう。

レストラン入口前にはメニューが出ていて、私はその中から今週のワンプレートを選ぶ事にした。

案内されたテーブルからは日本海が見えていて、
れていれば綺麗な夕日を見ながらの夕食も出来そうだ。

他のメンバー二人もワンプレートを注文、我々の前に最初にスープが運ばれて来る。私は温かいスープを想像していたのだが、運ばれて来たのは冷たいゼェリーのような半固体のコンソメスープ?だった。


私が初めて味わったこのコンソメ仕立てのスープ?は、夏場限定メニューだと思われるが独特の食感?で私には新鮮な驚きだった。

次に運ばれて来たのはパンだったのだが、このパンがモチモチしていて美味しいパンで、私はバターを付けて半分以上パンだけ食べてしまった。

そしてメインディッシュの魚&肉料理とサラダがワンプレートに載って運ばれて来る。

肉料理は
牛肉と野菜のトマト煮

魚料理は

白身魚のうにクリームソース

で共に美味しかった。

デザートは
メロン
仁木?のサクランボ
ハスカップ?のシャーべット
ミニケーキ

が出て来た。私、その詳しい内容に付きましては自信は御座いませんが、どれも美味しゅう御座いました。

そして最後に出て来たコーヒーが最高に美味かった。ちょっと大げさだが、私がこれまで飲んだコーヒーの中で一番美味しいと感じたコーヒーだった。

このコーヒーだけでもまた飲んでみたいと思わせた絶品のコーヒーだったが、三國シェフはエスプレッソ・コーヒーが大好物だと聞いた事がある。好きなコーヒーなだけに、コーヒーにも妥協しない三國シェフの気持ちが伝わってきて、好感が持てたオーベルジ ましけの昼食だった。

このレポートのご覧の皆さんは、私がパンとコーヒーしか誉めていないとお感じかもしれませんが、料理にも充分に満足した私でした。

強いて苦言を呈せば、デザートのメロンはもう少し熟れてから出してもらいたかったかな?


●災害事故!?
オーベルジュ ましけ の昼食は大満足で終了したが、予定ではこれから走りのメインディッシュを食べに霧立峠方面に向かう事になっていた。しかし、外は相変わらず雨が降り続いており、霧立峠に行っても走りを楽しむ事は到底無理な状況である。

こうなったら一刻も早く幌加温泉に行って温泉に入りたいと全員の意見が一致、私は幌加温泉に最短で向かう道を模索する。そこで思い出したのが以前走った事がある留萌〜深川間の無料自動車専用道で、それを使って道央道に入り旭川・比布と走り上川まで行くルートだ。

一部有料区間(深川西〜比布北)を走る事になるが、時間的にも距離的にも楽に早く幌加温泉に行き着けると考えたのだ。FUNKY北海道では昨年も一部高速道を使ったが、この際時間短縮と余計な神経を使う事が少ない高速道を使用する事にした。

FUNKY北海道では高速道(有料)を使うメリット(費用対効果)が少なく通常使う事はないのだが、今回の場合のような非常時や時間を短縮したい時には高速道は有効で使う事はあるが、1500円以上の料金は払いたくないかも・・・。

・・・と言いつつ無料だったら考えなくもない。もしかしたら来年は高速道ばっかり走っていたりして・・・!?

幌加温泉に泊まる時はいつも糠平の商店で夜の飲料を購入するのだが、今回は糠平まで行く余裕は無く、増毛のローソンで全ての準備を終え幌加温泉に向かう事にした。

久しぶりに通った留萌の街は、国道231号が四斜線の広い道に変わっていて以前通った時とは大きく印象が変わっていていた。秋田市にも地下道路が出来るくらいなのだから留萌の道が広くなっても不思議ではないが、来年になったらガソリン税の暫定是率が撤廃され道路財源が減って道の改修のスピードが落ちるかも・・・!?

留萌の街を出て国道233号を幌糠まで走ると無料高規格道(沼田幌糠道路)の入口が見えて来る。国道233号から右折して沼田幌糠道路に入った我々は、深川のジャクションを目指して走りを進める。

雨は相変わらず降っていたが、この沼田幌糠道路の舗装が素晴らしく、我々は路面の水溜まりや流れを気にせずにドライ路面の様にリラックスして走る事が出来た。舗装の表面がザラザラした隙間の多いアスファルト路面は、降った雨を路面に吸収し水溜りを作らないから、ハイドロプレーン現象が起き難くタイヤの滑りに気を使わないで走れたのだ。

沼田から深川(深川沼田道路)に近づくに従い雨が強くなってきて電光掲示板には

道央道 災害事故 通行止め」 の文字が・・・?

<災害事故?> この意味が良く分からなかったが、いずれにしても道央道が通行止なのだから深川西ICで降ろされる事を覚悟した私だったが、深川西ICまで来ると札幌方面は通行止めだが旭川方面は通行出来ると書いてあった。

深川西ICから先の道路も通行止になってのおらず、私はそのまま深川JCに向かう。深川JC前には料金所が在って、その前に立っていた警察官に我々は停止を命ぜられる。我々が旭川方面に向かう事を告げると通行を許可されたが、この大雨で深川JCと滝川の間で土砂崩れが有り通行止めになっているようだ。

ETCを持たない我々は、料金所でチケットを取り旭川に向かう。雨が降っている時にチケットを取ったりしまったりするのは大変で、こんな時ETCが有ったらと感じる時なのだが、ETCもただの箱になってしまう時が来るのか・・・!?  半月後には結論が出ている事だろう。


●ガス欠の恐怖
道央道に入ると雨は更に強くなってきたのだが、この時私には心配事が有った。それはこの雨ではなくタンク内のガソリン残量で、我々は今朝倶知安で給油してから240km以上走っていて、今までのK9の燃費からしたらもうガス欠になってもおかしくはない距離を走っていた。

しかし、今日は朝からズッーと雨で回転を上げて走る事は無かったから燃費は良いはずで、実際私のK5はまだ予備のコーションランプ(残量4リットルで点灯)は点いていなかった。道央道に入ればサービスステーションが直ぐに有るだろうと私は高をくくっていたのだが、現実はそう甘くはなかった。

トイレタイムを取る為最初の音江パーキングに入って休憩したのだが、SAの場所を調べてみると深川から北にGSが有るSAは皆無だった。K9は既に予備のランプが光っているらしいく予定の上川までは持ちそうもなかった。

こうなったら高速を降りて給油しなければならないのだが、どこのICを出て給油するかが問題だった。ここから一番近いのが旭川鷹栖ICなのだが出来るだけ旭川市街を避けて先で出たいので、私は比布北ICから出て愛別のいつものGSで給油したいと考えていたのだが・・・。

そして雨が強く降る道央道を再び走り出した我々は旭川鷹栖ICを通過、ここから先の道央道は片側一車線となり何か寂しい感じになってくる。雨の中こんな所でガス欠したらと考えると急に怖くなってきた私は、旭川北IC出口の標識を見た時ウインカーを上げてしまった。

料金所で一台1100円の高速料金を支払って発進した時、GSX−R K5 のリザーブコーションランプが点滅し始めた。この時点でGSX−Rのタンクにはまだ4リットルのガソリンが残っている事になり、私のK5には愛別までは行るだけのガソリンがまだ残っていた事が分かった。

高速を出て国道40号に入った私はGSを探すと間もなくENEOSの看板が見えて来て、我々は屋根の掛かった給油スタンド前にバイクを止める。これで何とかガス欠の恐怖から開放された私だったが、K9の給油量が気になった。

倶知安でガソリンを入れてから走った距離は280km近くになっており、私のK5には13.4リットルのガソリンが入った。私より燃費の悪いK9の給油量が気になったのだが、以外に燃費が良かったようでタンクにはまだ3リットル以上のガソリンが残っていたようである。K9も省燃費なバイク運転術を習得したようで、3リットル有れば愛別まで行けたかも・・・?

給油を終えた我々は、先ずは層雲峡を目指し走り出す。雨は少し小降りになったが止む気配はなく、国道40号から国道39号に出た我々は愛別から自動車専用道(愛別上川道路)を使って上川まで走り、また国道39号に戻って層雲峡に向かう。

晴れいれば層雲峡観光も考えていた私だったが、層雲峡を流れる今日の石狩川は濁流となって流れており、我々はそのまま長い長い銀河トンネルの中へ突入して行く。

国道39号から別れ国道273号に入った我々は、大雪ダムを渡りトンネルを出た先に在るパーキングにバイクを止め、休憩&トイレタイムを取る事にした。


●雨の三国峠
我々が休憩していると名古屋ナンバーの刀と隼のSUZUKIコンビがパーキングに入って来た。彼らは今日稚内を発ってここまで来たらしいのだが、彼らもまた我々同様一日中雨に降られたようである。

彼らはこれから三国峠を越え糠平温泉の宿に泊まると言う。一人は初めての北海道、一人は北海道2回目であると言うこの二台のバイクとはまた再会する事になるのだが、我々は彼らをパーキングに残し今宵の宿幌加温泉に向かって走り出す。

三国峠への道は小雨が降っており路面も少しテカッている状況で、昨日のニセコパノラマラインの時の様な走りは出来なかったが、それなりに走って三国トンネルに入る。三国トンネルの手前と向こうで天候が違う事は良くある事なのだが、トンネルを抜けると辺りはガスに包まれていた。

峠のパーキングを通過し左手下に松見大橋が見える所まで来たが、橋はガスに霞んでよく見えていなかった。橋を渡り大きなアールの高速コーナーを抜ける(今日は低速コーナーでしたが・・・)頃にはガスも取れ見通しは良くなる。晴れていれば絶好のスペシャルステージを淡々と走りを進めた我々は、無事幌加温泉前に到着する。



山菜等親父さんが山で採って来た食材
も並ぶ、美味しい幌加温泉の夕食。




●幌加温泉の夜は長い!?

写真より実際は急な玄関前の坂。

無事幌加温泉に到着した我々だったが、玄関前の定位置にバイクを止める為には最後の関門が待っていた。玄関前には急坂が有って、その先の玄関前のスペースが狭い為上って直ぐ停止しないといけないのだ。

OFF車や小排気量車だったらローギヤでゆっくりと上って行けば問題無いのだが、リッターSSの場合ローギヤが高くスピードが遅いと回転が落ちてエンストする恐れがあり、スピードが速いと狭い玄関前のスペースでは止まり切れない事も有り得るのだ。

今回初めてこの急坂に挑戦するK9がスペースを自由に使える先頭で急坂にチャレンジする事にしたのだが、後になる程スペースが少なくなり難しくなっていく。

K9は無事玄関前に停止して先ずは一安心。二番手は何回もこの坂を上った経験の有るK8が上る。しんがりは私が勤めたのだが、今回は止まっているバイクが二台でまだ余裕があった。これが四台位になるとスペースが無くなり結構シビアーになってくるのだが、最近ここに五台のバイクが並ぶ事が少ないから、それは余計な心配か・・・。

我々のバイクの音を聞いて親父さんが出て来てくれた。親父さんは昨年と変わらず元気そうで安心したのだが、我々はその後親父さんから思いも寄らない話を聞く事になる。


今は亡きお犬様(昨年10月撮影)

荷物を降ろし一段落したところでお犬様の話になったのだが、親父さんからお犬様が昨年の10月末に亡くなった事を知らされる。我々が昨年泊まったのが10月中旬だったから、会った半月後に亡くなっていた事を知って私はショックだった。

昨年会った時はいつもと変わらず我々に愛想を使って定位置の部屋に戻って行ったお犬様は、もともと10歳を越える高齢だったし、以前病気で手術を受けていたから寿命であったのかもしれない。

お犬様のご冥福を祈らずにはいられなかったが、私がこの宿でお犬様の亡くなった話を聞くのはこれが二回目で、前回は前任犬のセントバーナードのラブの時だった。

昨年亡くなったお犬様は、親父さんがこの宿に来て飼った犬の三代目で、我々がこの宿に泊まった時は常に犬の歓待を受けていたから、私の中ではこの宿と犬はセットになっており、今回その姿が無かったのは本当に寂しかった。

親父さんに   「もう飼わないのですか・・・?」  

と私が尋ねると  「もういいよ・・・。」  との言葉が返ってきた。

これから先の事を考えると、それも納得できる深いご返事だった。

荷物を降ろし雨具を玄関のポールハンガーに掛けた後、親父さんにいつもの部屋に案内された私は早速浴衣に着替えて温泉に向かう。部屋から廊下、階段、壁のポスター、脱衣所と、この十数年間何一つ変わっていない景色がそこに有った。

そして歩くのに気を使う床やドクドクトと湯船に流れ込む温泉、滑々した肌触りの湯船、今年もまた幌加温泉は何も変わっていなかった。この変わらない事がこの温泉の素晴らしいところで、良い物は変わる必要は無くそのままズーッと変わらないで欲しいと私は思うのだが・・・。

しかし、時間は確実に進んでおり、人や犬達は確実に老いていく。私もまたいつまでここを訪れる事が出来るか分からないが、幌加温泉が出来るだけ長くこのままでいて欲しいと願うものである。


このサーモンの刺身が美味かった!!

温泉で今日一日の疲れを取った私は、部屋に戻り一回目の乾杯をしてマッタリと夕食までの時間を過ごす。

親父さんが夕食の用意が出来たと知らせに来て、我々は食事が用意されている一階に下りて行く。

先ずはビールで二回目の乾杯をしてから美味しく夕食を頂く。ここの食事はシンプルだが親父さんが山で採って来た山菜等も並ぶ美味しい物で、我々は食事を楽しみお腹を充分に満たしたのであった。





今日はお隣の鹿の谷さんの露天風呂に入ります。


●鹿の谷 露天風呂
夕食を終えた我々は、以前行くのが遅くなって入れなかった隣の宿 鹿の谷 の露天風呂に行く事にした。

鹿の谷さんは食事が出ない自炊の宿で、三種類の違った源泉の内湯と露天風呂が一つ有る。我々はその露天風呂に入りに行くのだが、明るい照明器具を設置していないこの露天風呂は、晴れていれば綺麗な星空を眺めながら入れるロマンティックな露天風呂なのである。

しかし今日は先程まで降っていた雨が殆ど上がったとはいえ、空は雲に覆われたままで星空は望むべくもなかった。

我々が鹿の谷のフロントに行くと宿の人が出て来なかった。どうしたものかとウロウロしていると泊まっているお客さんが来て、

「幌加温泉に泊まっている人だったら多分そのまま入っても大丈夫だと思うよ・・・?」

「温泉から上がってから聞いて見たら・・・?」    と言う。

そのお言葉に甘えて我々は温泉に向かったのだが、廊下横の部屋では自分達で作った料理を持ち寄って泊り客による大宴会が開催中で、大盛り上がりであった。

この温泉に泊まる人達は殆ど常連さんなのだろうが、皆さん本当に楽しそうに宴会を楽しんでいらっしゃいました。

「こんな温泉の楽しみ方も有りなのかな・・・?」 と、私思ってしまいました。



内湯は三種類の温泉を楽しめます



混浴露天風呂は照明が少なく殆ど真っ暗です。
男湯と女湯は中央の岩で仕切られている?


脱衣所で裸になって扉を開けるとそこは湯殿なのだが、我々の横にもう一つ扉が有ってそれは女性用脱衣所の扉であった。つまりこの温泉は脱衣所は男女別々だか、入る温泉は一つの混浴となっているのだ。

幸い!?にも我々が入った時湯殿には誰もおらず恐縮する必要は無かったが、混浴風呂は結構気を使うので私は好きではない。勿論入っている人や状況によりますけど・・・。

ここの内湯は泉質が違う三つの湯船が有るのだが、幌加温泉とは源泉が違う為幌加温泉と同じ温泉は無い。

我々は湯殿を抜けて奥の扉から露天風呂に向かう。外は足元に小さな灯りがポツポツと置かれているだけで、目が慣れない我々には真っ暗闇状態であった。

地面には露天風呂まで踏石が並んでいるのだが、我々はそれが見えず小石の上を歩く事になり足の裏が痛かった。

露天風呂は一つの湯船の真中に岩の衝立を置いた様な造りで、どちらが男でどちらが女かは分からなかったが、私は奥の方に入ってみた。

露天風呂のお湯は温い所が多いのだが、ここの温泉は結構熱かった。温泉は衝立岩の両側から二手に別れて平等に出ており中央部はかなり熱かった。

我々は入ったり上がったりしながら温泉を楽しんだのだが、星が見えなかったのが返し返しも残念だった。この露天風呂の照明が暗いのは星がよく見えるようにする?為で、満天の星を見上げながら入る温泉は最高の贅沢なのだが、私はまだを体験した事が無い。

露天風呂から帳場に戻るとオーナーのおばさんがいて我々は料金の事をお尋ねしたのだが、今回は無料(通常500円?)で良いと言ってくれた。我々はありがたくそのお言葉に甘える事にして、おばさんにお礼を言って鹿の谷を後にする。




20年物を頂きます。
そのお味は・・・!?








●20年物
宿に戻った我々は、部屋で今日二回目の宴を始める。先ずは一昨日購入していたシングルカスク余市ウヰスキー20年を頂く事にする。各自茶碗に30ccの20年物を注ぎ、今日三回目の乾杯をする。

舐めるようにして飲んだ20年物の味は・・・?

意外に普通だった!!

昨年飲んだ15年物を初めて飲んだ時の感動は無かった。

15年物と比べると樽(カスク)の香りが少なく、味も円やかで昨年感じた口の中でクワッーと広がるアルコールのインパクトも少なかった。

カスクウヰスキーは樽毎の味を楽しむウヰスキーで、同じ15年物でも樽毎に味は違うし、20年物も同様でそれぞれの樽の個性を瓶詰した物だ。

今回飲んだ20年物は本当に円やかな味で私が今まで味わった事の無い美味しいウヰスキーだったのだが、円やか過ぎて昨年程のインパクトはなかったようである。

シングルカスク余市ウヰスキーは樽毎に味が違うが、年数が長ければインパクトが有るという物ではなそうである。



●不覚
20年物から始まった宴は増毛で購入した飲料を飲みながら続いていったのだが、私はここで大きな間違いを犯してしまうのである。

私と共に宴に参加する二人はFUNKYきってのアルコール分解酵素を持つ二人で、彼らがアルコールが有れば有るだけ飲み続ける能力を持っている事を私は忘れていた。

彼らが自分らで用意した飲料を飲み尽くした時既に午前様になっていたのだが、私は不覚にも彼らに私が持っていた飲料を差し出してしまったのだ。これにより宴は飲料の無くなるAM1:30まで続く事になったのだが、私はこれまでFUNKY北海道で1時半まで起きていた事は一度も無く、明日のコンディションを心配しながら私は床に着いた。

しかし、これに近い事は以前(1時過ぎまで)にも有ったから私は何とかなると高をくくっていたのだが、その時の私は自分が60歳になっている事をすっかり忘れていたのであります。

そして私のFUNKY北海道史上最悪の四日目の朝が明けるのである・・・・。


第4・5日目
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